国会最終盤は「なんでもありの遭遇戦」になる 米朝会談中止は「政権運営にプラス」の見方も
初夏の太陽が突然黒雲に覆われるように、永田町は風雲急を告げる状況に突入した。
「森友学園」と「自衛隊日報」問題でそれぞれ財務省と防衛省が、関連文書や調査報告を23日に同時公表した。これを受けて、自民党は25日、安倍晋三首相肝入りの働き方改革関連法案を会期内成立させるべく、衆院厚生労働委員会で法案採決を強行した。加計学園問題も含めて政権をめぐる疑惑が拡大する中での強引な国会運営に、立憲民主党など野党5党は「あらゆる手段」で抵抗を試みたが、与党は圧倒的な「数」で押し切った。
北朝鮮の非核化を目指した米朝首脳会談の突然の中止で国際社会が騒然となる中、与野党攻防は「国会特有のコップの中の争い」(閣僚経験者)にも見える。だが、1強首相が率いる政権の抱える多くの「火種」が相次いで炎上し、政権存続の可否も問われる状況は、まさに「国難」でもある。
「なんでもありの遭遇戦」に
とくに、森友問題での財務省の拙劣な対応や、安倍首相や麻生副総理兼財務相の開き直りの姿勢は、スポーツ界で今、国民の怒りを買っているアメリカンフットボールでの危険タックル問題における日本大学の対応と二重写しに見えている。募る一方の国民の政治不信に、与党内からも疑問、批判が相次いでいる。
政府与党は一部野党とも連携し、週明けの29日に働き方改革法案を衆院通過させて会期末までの成立を期すが、参院での採決の際には、野党5党などの物理的抵抗も予想される。これは、1年前の「共謀罪法」(「組織的犯罪処罰法」改正)をめぐる会期末の大混乱を再現するものともなりかねない。国会最終盤の攻防は会期末解散や9月の自民党総裁選をめぐる党内抗争も絡む「なんでもありの遭遇戦」になりそうだ。
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