国会最終盤は「なんでもありの遭遇戦」になる 米朝会談中止は「政権運営にプラス」の見方も

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24日午後から訪ロした首相は25日午後、訪問先のサンクトペテルブルグで記者団に対し「(会談中止は)残念だが、トランプ大統領の判断を尊重し、支持する」と述べるとともに、27日に帰国した後、トランプ大統領と電話会談する考えを明らかにした。

首相は帰国後、月末の国会審議を乗り切ったうえで、6月上旬にはカナダでの先進国首脳会議(G7サミット)に出席するなど、精力的に首脳外交を展開する。北朝鮮情勢が再び緊迫、流動化する中で、「内政より外交で政権浮揚を狙う戦略」(自民幹部)だ。

その一方で、依然として政権運営の火種となっている森友問題での公文書改ざん事件や自衛隊のイラク派遣時の日報問題については、財務省が23日に改ざん前文書や国有地売却をめぐる交渉記録を国会に提出。続いて防衛省も同日、日報問題の調査報告書を国会に提出した。

森友問題での交渉記録には首相夫人の昭恵氏付きだった政府職員が、籠池氏らによる昭恵氏への要請を踏まえ、財務省理財局に国有地の貸付料減額について2回も問い合わせたことが含まれていた。また、防衛省は日報問題の報告書で「組織的隠ぺいはなかった」と結論付けたが、与党内でも「まったく説得力がない」との声が多く、いずれも真相解明どころか疑惑を拡大させる結果となった。

その一方で、大量の文書や報告書を同じ日に公表したことで、メディアの報道も分散化した。野党側は「同時公表でメディアの批判報道を少なくしようとする狙いは明らか」(共産党)などと批判したが、政府側は「たまたま重なっただけ」と説明した。

しかも、同じ23日午後にアメフト危険タックル事件で、加害者側の日大アメフト部の前監督とコーチが記者会見したことで、同日夕刻以降のニュース報道と翌日の情報番組などは「アメフト事件一色」となり、森友交渉記録や日報報告書の報道は2番手以下に追いやられた。与党内には「安倍政権はまだまだ強運が続いている」(自民国対)との声が出ている。

「アメフト」と「もり・かけ」、同じく無責任

一連の出来事が起こる前の5月第3週の週末に、報道各社が実施した世論調査では、内閣支持率が平均で数ポイント上昇した。野党側が4月下旬から5月連休明けまで審議を拒否したことや、首相の積極的な首脳外交が支持率アップにつながったとみられており、政府与党内には「これで終盤国会も乗り切れる」(有力閣僚)と安堵の声が広がっていた。

しかし、森友交渉文書や日報調査報告書の公表が疑惑解明には結びつかなかったことで、永田町では「今週末の調査では支持率再下落は必至」(調査専門家)との見方が広がる。

アメフト事件での日大側の「余りにも拙劣な対応」が集中砲火を浴びる中、永田町では「責任者の監督やコーチが事実関係をごまかし、『選手が誤解した』などと言い訳して直接の加害者となった選手に責任をかぶせようとする姿勢は、もり・かけ疑惑での安倍政権の対応とまったく同じ構図」との声が多く、これも支持率再下落につながるとの見方が強まっている。

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