際限なく高度化する日本の「家事育児」の壮絶

技術革新がむしろ主婦の首を絞めてきた

シンガポールにいる日本人専業主婦はある種の「中流階級」であり、これが日本の一般的な主婦の姿とは言えないかもしれない。ただ、シンガポールは物価が高いこともあり、日本人の駐在員&専業主婦家庭でメイドを雇っているところは少なく、日本の専業主婦よりも格段に恵まれているという印象はない。場合によっては異国の中でより「日本らしく」強調されている側面もあると感じる。

専業主婦の「片付いてない」は信じてはいけない

そのような環境の中で、日本人の専業主婦の友達がたくさんできて、学んだことがある。

「今日ちょっと片付いてなくて」
「ささやかに子どものパーティを開くの。本当に簡単にね」
「あまりもてなせないけど」

これらの言葉は信じてはいけない。

「ちょっと」「ささやか」「簡単に」「あまり」のレベルが全然違う。私が「片付いていない」と言ったら本当に片付いていないし、「もてなせない」と言ったら本当に麦茶くらいしか出せない。

でもこれまで専業主婦のご自宅にお邪魔して、これが本当に子どもがいる家庭か、ホテルか、と思うくらい洗面所から何から何までピカピカ。もてなすものがなかったはずが、いれたてのコーヒー、お菓子、果物、と次々出てくる、出てくる……というケースに遭遇したのは一度や二度ではない。(ちなみに共働き家庭でもピカピカホテル状態のご自宅に度々お邪魔しているが、これはメイドさんのプロのお仕事ということで納得している)

子どもの誕生日パーティは特にすごい。飾りつけから手作りカップケーキ、子どもが楽しめる催し、お礼のお土産。よりインターナショナルなパーティでは開始時間に行くと飾り付け途中で、ちゃんと始まるのが1時間後みたいなこともよくあるが、日本人主催のパーティの場合参加者も時間にそろい、タイムラインまでが完璧だ。

「プレゼントは鉛筆とかそういうのでいいよ」というのを真に受けて、ささやかな文房具を子どもに選ばせて買っていったときのこと。ほかの子どもたちはラッピングされた大きな箱を持ってきていて、恐縮したこともある(もちろん、全員が全員そういうわけではないし、もう少し気軽なパーティもある)。

私の場合は、そんな完璧な美しいお家にお邪魔する前に、引っ越し後の「本当に片付いていない」「本当にもてなさない」わが家にどんどん気にせず子どもの友達母子を招いていたことが、功を奏してというか時すでに遅しというか、慌てて「水準を引き上げないと人を呼べない!」とは思う必要がなかった。「家事も料理も苦手」と公言していた結果、そういうキャラと認定されたのかもしれない。

でも、あの高水準家事力がスタンダードになってしまうと、つらいだろうなと思う。あれくらいピカピカにしてはじめてお友達を呼べる、皆さまに劣らぬパーティを開かなくちゃ……みたいになると、それはそれは大変だろう。

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