かっぱ寿司、黒字復帰でも安心できないワケ 3年で4度の社長交代、一貫しない「経営戦略」

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2017年8月末にくら寿司で販売された「シャリ野菜」。酢飯の代わりに大根の酢漬けを使用した商品で、糖質を気にする消費者を意識して投入された(写真:くらコーポレーション)

2つ目が“カッパらしさ”といえる独自色が伝わっていない点だ。たとえば、スシローは徹底的にすしにこだわるという姿勢を鮮明にし、国産天然魚を使用したすしや、江戸前ずしで使われる赤シャリを使用したすしを投入。「当社の原価率は約50%を維持しており、品質や味へのこだわりは他社に負けない」(スシローグローバルホールディングスの水留浩一社長)。

他方、くら寿司はサイドメニューに力を入れる。「すしやのシャリカレー」や「シャリコーラ」といった回転ずしらしからぬ斬新な商品が相次いでヒット。今年3月に初の洋食メニューを販売するなど、独自商品を次々と打ち出している。「客数を伸ばすためにはいろんな分野で勝負する必要がある」(くらコーポレーションの田中信・副社長)。

コロコロ代わるカッパの社長

そんな中、カッパは前出の食べ放題こそ話題になったが、「これといったマグネット商品(集客力のある商品)が乏しい」(ある競合幹部)。結果的に2018年3月期は月次動向を見るかぎり、客単価は上昇傾向にあるものの、客数減に歯止めがかかっていない。「コロワイドが買収した2014年以前の『安かろう、悪かろう』といった負のイメージを払拭できずにいる」(別の競合関係者)。

最大の問題は「一貫した経営戦略」が見えてこない点だ。カッパでは2017年4月に社長に就任したばかりの大野健一氏が、「一身上の都合」を理由に2018年2月末に突然辞任。コロワイドによる買収以降、3年間で実に4度目の社長交代となった。

しかも大野氏が辞任した直後は後任が決まっておらず、次期社長が発表されたのは大野氏の辞任発表から19日後。後任の小澤俊治氏が就任するのは6月の株主総会後ということもあり、約4カ月間は社長不在という状態が続く。

大野氏は昨年11月の決算説明会で「食べ放題は想定を超えるお客様に来ていただいた。話題性を重視しながら、今後もさまざまなことを仕掛けていきたい」と意気込んでいた。だが、結果的にコロコロと社長が代わる悪循環は止まらず、カッパとして再成長に向けた方向性が定まらないままだ。

カッパは2019年3月期の既存店売上高について前期比6%増という高い目標を掲げる。社長に就任する小澤氏は、カッパと同じコロワイド傘下でステーキ店や居酒屋などを展開するアトムの社長を務めてきた。競合が攻勢を強める中、小澤氏は就任早々から難しい舵取りを迫られそうだ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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