いや、しかし、正直なところ思春期の男の子がそんなにも素直に家族会議に参加し、新しい家族と向き合うなんて、健気すぎやしないだろうか。いくら会議とはいえ、家族みんなが感情的にならずに話し合いを進められるなんて、そんなにうまくいくもの?!と、ひねくれた(そして小3にしてすでに思春期ぎみの息子を持つ)筆者は、思ってしまう。
「そうそう、もちろんありましたよ。全然話さなくなった時期。中3くらいからは、何を言っても『別に』『なんでも(いいよ)』ってむすっとして。夫なんて、返事が返ってこないテレビに話しかけてるような状態がずっと続いてたよね(笑)」と、みゆきさんが言うように、はるかくんにももちろん反抗期は訪れた。それでも、不定期ではあるものの中川家では折に触れて会議を続けていた。
一応会議の席には着くものの、むっつりと黙り込むはるかくん。そんな彼があるとき、ずっと続けていた部活を急に辞めると言い出した。そのときのみゆきさんは、自分の反応に自分でも驚いたという。
ついに息子に不満をすべてぶちまけた
「なんで?!って結構感情的になったんです、私が。朝5時半に起きてお弁当作って朝練に送り出して、頑張って応援してたのに、辞めるってどういうこと?!って(笑)。スポーツは体づくりのためにも続けてほしいと思っていたということもありますが、結構ショックを受けてしまったんですよね」(みゆきさん)
結婚当初からみゆきさんは、自分がはるかくんの「お母さん」になれるとは思っていなかったし、なろうともしていなかった、という。ただ、近くにいる大人として接していこうとは思っていた。反抗期に入り、あまり話さない彼に対しても、「今はそういう時期だってわかる。しゃべりたくなったらしゃべってね」と一歩引いたところで接していた。でも、次の緊急会議で、みゆきさんははるかくんに感じていることや不満を全部“ぶちまけた”という。
「そのとき気がついたんです。血はつながっていないけど、身近にいる子に対して自分はこんなふうにコントロールしようとしてしまうんだな、って。親って、『これが、私が思う幸せになる道なのに、なぜ?』っていう気持ちがどうしても出てきちゃうんだなって」
これは反抗期に入った息子とお母さんのありきたりな、自然な衝突なのだろう。もしかすると2人がすでに「家族」になっているからこそ起きたことなのかもしれない。でもただの「親子ゲンカ」にならなかったのは、やはり「家族会議」の力だ、とみゆきさん。会議の場で話すことで、感情を表に出したとしても最後は冷静になれる。意見は意見として言いながらも、あくまで「最後ははるかくんの決断に任せるよ」という伝え方ができた。
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