「定期預金だけの運用」では幸せになれない 銀行の「超低金利預金」から「卒業」しよう

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外国株式と外国債券を見てみましょう。外国株式は「eMAXIS Slim先進国インデックス」。信託報酬は0.1183%、6社のうち、取扱いは松井証券とマネックス証券です。

最後に外国債券は「たわらノーロード先進国債券」と「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」の2つが信託報酬0.1836%です。6社のうち、前者は楽天証券で扱いがあり、後者は松井証券とマネックス証券で扱っています。

「国内・先進国・新興国」×「株式・債券」=6種類で運用する

以上、4種類でのコスト最安ファンドをお伝えしましたが、金融庁はさらに、国内、先進国、新興国の株式と債券にそれぞれ6分の1ずつ、積み立てを20年継続した年平均利回りは4%であったと発表しています。つまり、上記の4種類に新興国の株式と債券を加えて6分の1ずつ運用すれば、国が推奨する資産形成のスタイルを自分で作ることができます。

たとえば、上記で最もコストの安い投資信託をすべて扱っている松井証券であれば、新興国株式は「eMAXIS Slim新興国インデックス」(信託報酬0.2052%)、債券は「三菱UFJDC新興国債券インデックスファンド」(信託報酬0.5616%)が組み合わせの選択肢です。

またマネックス証券なら、新興国株式は、松井証券同様「eMAXIS Slim新興国インデックス」、新興国債券は「iFree新興国債券インデックス」(信託報酬0.2376%)になります。iDeCoは良くも悪くも運用商品が限られているので、初めて投資信託を選ぶ場合でも、それほど悩まずに投資信託を選ぶことができます。このように、iDeCoにおいては「資産配分」といって、上記6つのカテゴリーの投資信託に、6分の1ずつ投資割合を設定すれば、立派な「金融庁モデルポートフォリオ」が出来上がります。

最初に戻りますが、残念ながら、今は定期預金だけでの資産形成は分がよくありません。これは「経済活動の三角形」(個人・企業・金融機関)を考えるとわかります。銀行は私たちからおカネを集め、企業に貸して運用しています(ほかに国債などでの運用も)。私たちが預金してもらえる金利が仮に1%なら、企業への貸付金利は、それ以上の金利が必要です。仮にそれが2%なら、銀行の利ざやは1%です。

一方、企業は借入の金利2%以上の利益を上げないと儲けられません。それらのモノやサービスを購入するのが私たちです。預金金利は1%なのに、モノやサービスの値段は銀行や企業の利益を加味した金利が乗っているので、定期預金の金利は物価に追いつかないのです。

ごく簡単に説明するとこういう仕組みです。だからこそ、私たちは企業の成長の恩恵を受けるために「投資」が必要なわけです。企業におカネ(資本)を提供するのが「株式投資をする」という行為ですし、企業に資金を貸し付けするのが「債券に投資をする」という行為です。銀行などを通した間接金融から直接金融へというスローガンも、ここからきています。

日本人と欧米の過去20年の金融資産の成長を比較すると、日本人の金融資産が1.5倍にしかなっていないのに、米国は3.3倍、欧州は2.4倍に成長しています(金融庁調べ)。まさに日本人のお財布は預金ばかり。一方、欧米人のお財布は分散投資による世界経済の成長のリターンを得ていたということです。

実際、日本の株式に投資をする投資信託では、トヨタ自動車、NTT、ソフトバンクなど、外国の株式に投資をする投資信託では、アップル、グーグル、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンドットコムといった、皆が知っている有名な会社が主な投資先です。間接的に「世界のリーディングカンパニーの株主」になり、成長の恩恵を受けるということは、資産形成の方法として王道なのです。

「iDeCoで定期預金は確実だけど、本当にこれでいいのだろうか……」、そんな心の声が聞こえてきたら、長期、積み立て、分散投資で本格的に資産形成の扉を開けてみるタイミングかもしれません。

山中 伸枝 ファイナンシャルプランナー、FP相談ねっと代表

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やまなか のぶえ / Nobue Yamanaka

FP相談ねっと代表。一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。アメリカ・オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」ビジネスパーソンのためのライフプラン相談、講演を数多く手掛ける。大手新聞社主催のiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAセミナーの講師など登壇も多数。金融庁のサイトで、有識者コラムを連載。著書に『「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書』(インプレス)、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、『100人以下の会社のためのiDeCo&企業型DC楽々活用法』(日本法令)ほか。公式サイト

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