当時はダイハツにも「リーザスパイダー」があったのだが、蚊帳の外だったのは否めず。開発陣にとってもうらやましいと思わずにいられなかったそうだ。さらに、世界の一流メーカーはどこもオープンスポーツを持っていることも開発者は知っていた。そうした思いが原動力になり、オープンスポーツモデルの構想が始まる。ただし、それはダイハツの身の丈に合ったものであるべきとの判断から、軽自動車として企画された。
そして、軽のオープンをそのまま車名にしたコンセプトモデル「KOPEN」を1999年の東京モーターショーで披露するや評判も上々で、経営陣を説得することもでき、市販化までこぎ着けた(市販化の際に「COPEN」と名づけられた)。かくして2000年代初頭の軽自動車のスポーツカーが不在の時代に現れたコペンは孤軍奮闘し、2012年まで現役を務めた。生産台数は10年で5万8496台と、まずまず健闘したといえる。
初代の生産終了から2年足らずのインターバルを経て、2代目コペンが2014年6月に登場した。2代目の企画にあたっては、コペンならではの「アクティブトップ」を継承したうえで、外板パネルを着せ替えできる「ドレスフォーメーション」という斬新な試みで、計3タイプもの個性をそろえたことが特徴だ。
一方、ホンダが2015年3月に送り出した「S660」は、コペンの対抗馬ではなく、あるいは生産終了から17年が経過したビートへのオマージュでもない。「純粋に自分が乗りたいと思う楽しいクルマを提案した」という、新商品企画の社内コンペにおいて選出された、のちにS660の開発責任者に任命される椋本陵氏の案を基に開発されたことは、発売時にも広く報じられていたとおり。最盛期は納車まで1年を要し、発売から1年経っても多量のバックオーダーを抱えるなどしていたプチフィーバーぶりも記憶に新しい。
S660購入者は「フィット」や「CR-Z」「ライフ」「Nシリーズ」、ひいてはビート、「CR-V」などホンダ車からの買い替え比率がやはり高いようだが、コペンからの買い替えも3位となる5%に達しているというのも興味深い。
そんな両車の、本記事掲載時点の状況はどうか?
コペンもS660もそれなりに頻繁に見掛けるが、直近の販売台数は両車ともそれほど多くない。それぞれ発売翌暦年(1月~12月)の販売台数は、コペンが2015年に7247台、S660が2016年に1万0298台を売り上げていたのに対し、直近の2017年度(2017年4月~2018年3月)はコペンが2843台、S660は3579台にとどまる。
月販を見ると、200台前後で小幅な動きのコペンに対し、S660はやや乱高下ぎみで、特別仕様車の投入もあって400台半ばに達した月もあれば、少ないときには160台あまりにとどまり、5月と6月、2018年1月と2月の4カ月についてはコペンが上回ったというのも驚きだ。
ダイハツ コペン | ホンダ S660 | |
2017年5月 | 200 | 163 |
2017年6月 | 252 | 224 |
2017年7月 | 246 | 370 |
2017年8月 | 185 | 194 |
2017年9月 | 257 | 466 |
2017年10月 | 256 | 480 |
2017年11月 | 256 | 461 |
2017年12月 | 197 | 251 |
2018年1月 | 258 | 161 |
2018年2月 | 243 | 234 |
2018年3月 | 277 | 317 |
2018年4月 | 273 | 221 |
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