もちろん、みなさんの中には、「働き盛りで忙しくて読書どころではない」「子どもの世話や家事もあって読書どころではない」という人も多いと思います。でも、そういう人にこそ、読書タイムをお薦めしたいと思います。1日10分の読書でも、1カ月で300分、つまり5時間になります。1年では3650分、つまり60時間です。読書タイムをきっかけに、ほかの隙間時間にも読むようになれば、さらに読書時間は増えます。まったくゼロの状態に比べれば大きな違いです。そして、「塵も積もれば山となる」ということわざのとおり、やがて大きな成果に結び付きます。
親がいくら上手に誘っても、子どもが読書タイムに乗ってこないということもあるでしょう。そういうときは、せめて親だけでも読書タイムを取ってください。もちろん親自身のためでもありますが、親が読書をしている姿を見ることで、子どもが読書に興味を持つということも大いにありうることだからです。というのも、身近な親の姿は、つねに子どもにとって模倣するためのモデルになっているからです。これをモデリング効果といいます。
子ども用の新聞はとっておきの「楽勉」
3つめは、子ども用の新聞から入ることです。小学生用としては、「○○小学生新聞」や「○○KODOMO新聞」という名前で日刊で出ています。漢字はすべて振り仮名つきです。中高生用としては、週刊の「○○中高生新聞」などが出ています。
なんといってもすばらしいのは、宅配されるということです。特に小学生新聞の場合は、毎朝新しい新聞が届きます。子どもは新しいものが大好きで、本能的に開いてみたくなります。新しいから読みたくなるのです。そして、毎日来るから続けられるのです。毎日1つの記事でも読めば、ここでもまた塵が積もって山となります。見出しやリードの部分をざっと読むだけでも、毎日続ければ大きな違いになってきます。
また、新聞のよいところは、ニュースだけでなくいろいろな分野の記事が出ていることです。政治、経済、環境、科学、スポーツ、動物、昆虫、料理、趣味、芸能、クイズ、知的パズル、受験模擬テスト、勉強法、マンガなど、ありとあらゆる分野の記事です。ですから、子どもが興味を持てる記事が出ている可能性が高いといえます。
また、はじめは興味がない記事だったけど、読んでみたら面白かったということも起こります。それがきっかけで新しい分野にも興味が持てるようになり、そういうことが積み重なって多方面における知的好奇心が育つ可能性も高いといえます。新聞を読んでいるうちに、知的好奇心が育ち、漢字も読めるようになり、使える語彙も増え、読解力もつきます。文字、文章、活字などに対する抵抗感もなくなりますし、これらすべてが読書一般の基礎力になります。
私は、この小学生新聞と中高生新聞こそ、子どもたちの知力、学力、感性を総合的に伸ばすとっておきの楽勉ではないかと思います。というのも、以前、次のような話を読んだことがあるからです。
明治維新の後に、日本は急速な文明開化と近代化を果たすことができましたが、そのとき新聞の宅配制度が大きな役割を果たしたという話です。その頃の新聞は、漢字に振り仮名が振ってありました。学校という制度がまだ十分でなかった時代にあって、人々は毎日振り仮名付きの新聞を読むことで、漢字が読めるようになり、いろいろな知識も身に付けていきました。それが、急速な文明開化と近代化の礎になったのです。もし新聞の宅配制度がなかったら、そのようにはいかなかったかもしれないのです。小学生新聞と中高生新聞で子どもの文明開化をしてあげてください。
以上、読み聞かせが手遅れな子を本好きにする秘策を3つ紹介いたしました。ぜひ、実行してみてください。
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