子どもが自動的に「本好き人間」になる仕掛け 10歳以上で読み聞かせが難しい子にも有効

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情報や知識のインプットが増えれば、それをもとに自分で考える力もつきます。すると、プロの試合をテレビで見ても、より深い見方できるようになります。これらはすべてサッカーについての頭がよくなるということであり、実際の練習やパフォーマンスにも必ずよい影響が出ます。

何のスポーツでも、あるいは習い事でもそうですが、体だけでやるわけではなく頭を使ってやることがとても大事です。ですから、その分野について頭で深める部分が必要なのです。そして、好きな分野の本や雑誌で情報や知識を得たり、それをもとに自分が考えたことなどがあったら、それを「自分ノート」に書くようにすればさらに効果倍増です。

好きな分野の本や雑誌を読んでいるうちに、漢字も読めるようになり、使える語彙も増え、読解力もつきます。文字、文章、活字などに対する抵抗感もなくなりますし、これらすべてが読書一般の基礎力になります。

さらに、これが大事なのですが、子どもが好きな分野の本や雑誌を読んでいるときに、「あなたは本が好きだね」と言ってあげてください。すると、子どもは「自分は本が好きなんだ」と思えるようになります。

人生は思い込みで決まります。「自分は本とか嫌いだし……」という思い込みがあると、当然ながら本を手に取る機会は減ります。「自分は本が好きなんだ」という思い込みがあれば、本を手に取る機会は増えます。

毎日決めた時間に読書をする

2つめは読書タイムの設定です。つまり、毎日決めた時間に読書をすると決めるのです。子どもだけの読書タイムでもいいですが、圧倒的に大きな効果があるのは家族みんなが同じ時間に読書する「家族読書タイム」です。お父さんもお母さんも、おじいさんもおばあさんも、この時間は本を読みます。こういう状態なら、子どもも自然に読むようになりますし、気も散りません。この時間は読書をするのが当たり前、という雰囲気にすることが大事です。

教師だったとき、私のクラスでは一年中、毎日、朝8時から8時20分まで読書タイムと決めていました。毎日やっていると、生活リズムとして読書タイムが定着します。すると、「読書タイムだよ」などと言わなくても本を読み始めるようになります。実際、私のクラスでも8時にはみんな本を読み始めていました。中には10分も前から読み始める子もいました。毎日読んでいると続きを読みたくなるからです。

そして、読書タイム以外にも、子どもたちは、休み時間、給食を食べ終わった後、体育の着替えが終わった後など、ちょっとした隙間時間にも本を読むようになりました。先ほども言ったように、続きを読みたくなるからです。ですから、読書タイムは20分間でも、それがきっかけになって実際には毎日もっと長い時間読むようになったのです。これは自慢ですが、私のクラスの子どもたちが図書室で借りる本の冊数はつねに学校でいちばん多かったです。このようなわけで、みなさんの家庭においても、たとえ10分でもいいので、毎日同じ時間帯に読書タイムを取ることをお薦めします。

それは子どもだけでなく、大人であるみなさん自身が読書習慣を維持するためにも役立ちます。今の世の中、仕事においてもプライベートにおいても、アクティブかつ創造的に生きていくためには、私たち大人も毎日学び続ける必要があります。もちろん、ネットやスマホを通してもいろいろな情報や知識を得ることはできますが、やはりそれらは断片的かつ表層的なものが多いというのが現実ではないでしょうか。やはり、まとまった情報を得たり、1つのテーマについて深く極めたりするためには、本を読むことは欠かせないはずです。もう少し時代が進めば違ってくるかもしれませんが、現状ではやはり読書は欠かせないと思います。

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