九州発「コスモス薬品」で突然社長降格のワケ 既存店売上高は前年超えが続いていたが・・・

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柴田氏は第2四半期の決算会見で「毎日安売りは粗利低下につながるが、短期的に粗利を犠牲にしてでも、さらなる客数増を図りたい」と第3四半期以降の巻き返しを宣言した。だが、その後も思うような結果は出せていなかった。

実際、第3四半期までの累計で売上高は4107億円(前年同期比10.8%増)と増収ながら、営業利益は157億円(同9.2%減)と減益になった。2018年5月期の通期業績も、営業利益は200億円(同10.1%減)と10期ぶりの減益を見込んでいる。

創業者との二頭体制に

次期社長には、取締役営業本部長兼店舗運営部長の横山氏が就任する。横山氏への社長交代について、柴田氏は「営業体制の強化」と説明する。

横山氏は2003年に入社して以降、現在に至るまで店舗運営に携わってきた。「新卒入社ではいちばん長く店舗運営に携わっている人物。現場からの信頼も厚い」(柴田氏)。現場経験の豊富な横山氏にバトンタッチすることで、収益回復を目指す構えだ。

さらに創業者の宇野氏も横山氏を全面的にバックアップする。宇野氏と横山氏の二頭体制を敷くことで、店舗運営を強化して客数の上積みを狙う。柴田氏は「創業者が外れると、こうまでなるかと痛感した。末永く安泰を保つためにも、宇野さんはまだまだやれる」と口にする。

会社側は来2019年5月期も低価格路線を堅持する方針だが、食品スーパーとの競争は過熱するうえ、引き続き人件費負担も重くのしかかりそうだ。採算改善も見据えてPB(プライベートブランド)の強化も図るというが、来期中に一気に拡大するのではなく、あくまでも中長期的に増やしていくという。横山・宇野両氏の二人三脚で収益回復を果たすことはできるか。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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