「AI」だけでは未来は創れないといえる理由 技術が進歩しても敵わない人間だけの能力

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「デザイン思考」という言葉を聞いたことのある読者の方々はどれくらいいるだろうか?

デザイン思考の起点は「共感」にある(イラスト:筆者作成)

デザイン思考とは、イノベーションを起こすような創造的なアイデアを生み出す思考法であり、Google、Appleといった世界の革新的企業が採用していることでも有名な問題解決のアプローチだ。

重要なのは「ユーザーへの共感」から始まる点

その思考プロセスで重要なのは、「ユーザーへの共感」から始まる点である。簡単に言うと、「解決すべき課題」を定義するためには、まずはユーザーの本源的欲求に共感し、ユーザーの気持ちを理解しよう、という話だ。

なぜ「共感」が重要なのか?

上でも述べたように、AIは欲求を持たないので、「(人間的な深い)共感」も当然できない。ところが、この「共感」こそが、世界を変革する原動力なのである。

すなわち、「共感力」が強いほど課題を明確に理解でき、良質なアイデアを生み出すことができるだけでなく、課題を解く情熱やモチベーションも上がり、問題解決の実行力も高まる。また、チームワークを考える上でも「共感力」は欠かせない。「共感させる力」は人の心を動かし、「リーダーシップ」や「巻き込み力」となって世の中を動かし、結果として「一人では成し遂げられなかった偉業」を実現させることになる。

このように、「共感」はすべての「革新の原点」であり、「人間だけが持つ価値」だ。「AIが人の仕事を奪う」と言われる時代に、AIと共存し生き抜くためには、実はこの「共感力」を鍛えることこそが一番重要なのである。

「英語」や「プログラミング」を習得することもとても大切だが、これらはいずれAIによって自動化される時代がやってくる。そんな時代にも価値を持ち続ける「共感力」という「人間らしさ」に、もう一度目を向けてみるのはどうだろうか。

松本 勝 VISITS Technologies CEO/創業者

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まつもと まさる / Masaru Matsumoto

東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマンサックス証券に入社。株式、 金利デリバティブのトレーダーを経て、2010年に人工知能を用いた投資ファンドを設立。2014年にVISITS Technologiesを設立し、人の創造性を可視化する「デザイン思考テスト」を独自技術(日米で特許取得)により開発。また、企業向け意思決定DXツール「VISITS forms」等のクラウドサービスを幅広く展開し、大手企業200社に対してイノベーション・DX推進の支援を行う。内閣府等のWG委員を歴任する他、2018年、スタートアップ経営者として初めてサマーダボスに招待され、その翌年には注目の経営者としてスーツ・オブ・ザ・イヤー2019を受賞する。

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