元日本代表・楢崎正剛が42歳の今も戦う矜持 「弱点」といわれる日本人GKの厳しい現実

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日本代表キャップ数77試合、Jリーグ通算660試合出場という偉大な記録を誇り、2010年JリーグMVPに輝いている42歳の楢崎も、今季はオーストラリア代表GKミチェル・ランゲラク加入のあおりを受けたところもあって、J1でベンチ外が続いている。Jリーグ・ルヴァンカップは何試合かベンチに入っているものの、これほど試合に出られないのは1995年のプロ入りから初めてのこと。だからこそ、日本人GKの苦境をより一層、痛感する日々だ。

「日本人GKが『弱点』って言われるのはすごくつらい。かかわってる側からすればね。今までの日本サッカー界では『いいFWとは?』とか『優れたMFはどういう選手か』といった話は出ていたけど、派手な動きや目立つ仕事だけじゃない部分はサッカーにはたくさんある。『何がいいGKなのか』ってところにもあまり目が向いてなかったと思います。そこを何とかしなきゃいけないという危機感は強いです」

こう語気を強める楢崎だが、引退後に指導者に転じる意思は現時点ではまだ固まってはいない様子。「選手としてこのまま終われない」という思いが、彼自身を突き動かしている。

日本のGKを少しでも変えていきたい

「今のような状況でも、自分が日本のGKを少しでも変えていきたいって気持ちはあります。自分の経験を伝えるのはなかなか難しいことだし、将来的に指導する側に回るとしても勉強していないといけない。ただ、たくさんの経験をしてきたことは財産だと思うんで、恩返しの意味でも還元していかないといけないですね」と楢崎は自分に課せられた責務をしっかりと認識している。

もう1つの使命は、1993年Jリーグ発足時からJに名を連ねる「オリジナル10」の名古屋を立て直すこと。2017年シーズンに初のJ2降格を味わい1年でJ1復帰を果たしたものの、2018年の彼らは再び下位に沈んでいる。2017年に就任した風間八宏監督の手腕の高さは川崎フロンターレ時代から実証済み。それに呼応する選手たちの自覚と意識を高めていくことが大切だと楢崎は考える。

2017年3月、J2での試合に出場していた楢崎選手(写真:築田純/アフロスポーツ)
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