米国経済、政治の機能不全が最大のリスクに 約200万人を失業に追いやったまま

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緩慢な回復

全てのエコノミストがこうした見方に同意しているわけではないが、2008─09年の景気後退以降の回復ペースは異常なほど緩慢となっている。

米国内総生産(GDP)は景気後退前の規模を上回っているが、民間投資は2007年の水準を下回ったまま。雇用の伸びも景気後退前を下回り続けている。

金融危機が収まって以降、米政界は次々に混乱を招いている。

医療保険改革法への不安もあり、2010年の選挙で共和党が下院を握った。民主党が多数派を占める上院とのねじれから、税や歳出をめぐる対立が繰り返されている。

今回の危機のように、議会は土壇場で惨事を回避してきたが、こうした瀬戸際政策は消費者の信頼感をどん底水準まで押し下げている。

財政再建が重しに

景気改善と相まって、歳出削減により、米国財政赤字の対GDP比率は2011年度の8.7%から、今年9月30日までの会計年度に3.9%まで低下したが、そのために要したコストは大きい。

経済予測会社マクロエコノミック・アドバイザーズが14日に公表したリポートによると、国防費などの裁量的歳出を議会が2010年の水準で維持していたならば、120万の雇用が追加で生まれていたと見込まれている。

また同社は、米政治の機能不全により、90万人の失業者が新たに生まれたとの推計も示している。

政治の不確実性が経済を損なっているとの見方に同意しないエコノミストでさえ、歳出削減と増税はより段階的に導入すべきだったとの考えに賛同する。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ポール・アッシュウォース氏は「財政再建は景気にとって大きな重しとなっている」と述べた。

国際通貨基金(IMF)は6月、米国の歳出削減策は「あまりにも急激であり、いびつだ」と指摘した。

米政界には、さえない実体経済の責任があるかもしれないが、金融業界への影響はそれほどではないかもしれない。

多くのエコノミストは、米緩和策が先月に縮小されると見込んでいた。政治の混乱により、緩和縮小は来年まで開始されないのではないかとの見方が広がっている。

前出のバリエール氏は「市場は政治の機能不全との付き合い方を学び始めているのではないか」と話した。

( Andy Sullivan記者 執筆協力 Jason Lange;翻訳 川上健一;編集 佐々木美和)

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