4代目「ベンツAクラス」乗ってわかった超進化 これまでの自動車の価値観を大きく変える

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実際にこれらを操作すると、サクサクと動くさまはまさにスマホを操作している感覚そのものといえる。しかしながら、このMBUXで最大のインパクトは、“インテリジェントボイスコントロール”と呼ばれるシステムを備えたことだろう。

あいまいな会話でもAIが理解

“インテリジェントボイスコントロール”を最もイメージしやすいのは、アップル社のiPhoneにおけるSiriや、グーグルホームやアマゾンエコーといったスマートスピーカーなど。あれらと同じように、あいまいな会話でもAI(人工知能)が理解をし、インフォテイメントや車両操作関連の機能を動かすことができる仕組みだ。

システムの起動はドライバーが、

「Hey Mercedes」

と呼びかけるだけ。すると、即座に

「How Can I help You?」(何かお困りですか?)

と返事をしてくる。そしてこれに対して乗員が何か要求を伝えることで、反応を示す。

たとえば、

「I'm Hungry」(お腹がすいたよ)

と言えば、近くの飲食店をリストアップして表示するし、

「Do I need an umbrella tomorrow?」(明日は傘が必要かな?)

と聞けば、明日の天気を画面に表示するなどしてくれる。

さらにこのシステムは学習機能も備えており、ユーザーとその声に対する理解力を高めるほか、サーバー上のソフトウエアモデルにより、新しい流行語や時代による言葉の用法の変化までも学習するという。

実際に使用してみると、たとえば従来であればコントローラーでメニューを呼び出し、深い階層に到達して車両の機能を設定していたような煩わしさから解放されるというメリットがある。

新型Aクラスではオプションで64色のアンビエントライトが設定可能だが、わざわざタッチコントロールで階層をたどって設定せずとも、「Hey Mercedes」と声をかけ、「Ambient Light Red」と言えば一瞬で任意のカラー変更が可能である。

またナビゲーションでは、ユーザーがよく通行するルートを検知すると、予測機能で道筋にあるオススメの店なども提案するなど、これまでよりも一歩進んだコミュニケーションを可能としている。

このように新型Aクラスは、まだどのクルマも、どのメーカーも使っていなかった、自然な対話型のユーザーインターフェイスを真っ先に取り入れた。そして同時に、人工知能による学習や予測機能を盛り込んだ最初のクルマとなったわけだ。

そう考えると今回このシステムを、自動車の生みの親であるメルセデス・ベンツが、Aクラスという同社の最もコンパクトかつリーズナブルなモデルに最初に搭載したことに、強烈な“攻めの姿勢”を感じる。

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