4代目「ベンツAクラス」乗ってわかった超進化 これまでの自動車の価値観を大きく変える
もちろん今回のMBUXを実際に使ってみると、まだまだ改善が必要な部分も感じる。しかしながら細かなことはさておき、時代が求めるこのようなシステムをまず搭載してみるというその積極性に、歴史と伝統あるブランドながらも決して現在の地位にとどまらず、むしろいち早く時代をとらえて軽やかなフットワークで立ち回ろうとするメルセデス・ベンツの姿勢が浮かび上がってくる。
またAクラスという量販モデルにMBUXを投入したことは今後、車格による装備ヒエラルキーを払拭する可能性も帯びてきた。
高価格でクッションできる高級車や上級モデルだからこそ初のシステムや先進機能を導入するのでなく、最新のモデルに最新のシステムを与えることで、ますます多様になるユーザーの、消費に対応するプロダクトの反応の速さや、それが商品性の高さとなる重要性を感じさせる。
筆者はそうした意味において、新型Aクラスはこれまでの自動車の価値観を変えるような存在、と感じたのだった。
ならばAクラスは、完璧か?
日本仕様がどのような設定になるのか
筆者としては唯一気掛かりなのは価格だ。たとえば、今回試乗したA250のエディション1は、装備の豊富さと充実度から価格は確実に500万円をはるかに超えているだろうし、600万円台でもおかしくないレベルである。
さらにもう1台のA200の18インチに関しても、おそらく400万円後半の仕様だろうから、決してエントリーモデルとはいえなくなりつつある。
先に筆者は今度の自動車の価値観を変えると言った。しかし、この価格を軸に別の見方があるとするならば、新型Aクラスは単純に欧州Cセグメントのプレミアムだから、装備も内容も充実している、とも言えてしまう部分もある。
もっともこの辺りはグレードや装備で変わってくるので、日本仕様がどのような設定になるかはまだ不明だ。
総じてみると、新型Aクラスは従来の自動車の価値観でみるプロダクトとしては群を抜く仕上がり。そのうえで充実した装備を備えておりSクラスにも並ぶ。そしてMBUXによって、ライバルの誰も採用していない新世代のユーザーインターフェイスを盛り込んだという実に意欲的なプロダクトである。ただし、高価なことも間違いない。
というわけではたして新型Aクラスは、単なる欧州Cセグメントのプレミアムに位置付けられて終わるのか? それとも自動車の価値やヒエラルキーを変える1台になるのか?
実際に販売が始まって、このクラスはもちろん、今後の自動車全体にどのような影響をもたらすかも含め、その動向が楽しみな1台である。
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