4代目「ベンツAクラス」乗ってわかった超進化 これまでの自動車の価値観を大きく変える

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18インチサイズのタイヤを履いたA200(写真:メルセデス・ベンツ)

対して翌日に試乗した18インチサイズのタイヤを履いたA200は、リアサスは同じマルチリンクだが可変ダンピングシステムはついていない、より一般的な仕様だった。こちらはさすがにA250ほどの強烈な乗り心地のよさは感じなかったものの、それでもこのクラスで見てもトップといえる乗り心地とハンドリングのバランスを実現していた。

おそらく市場導入の際には多くの人が選ぶだろう可変ダンピングシステムなしの仕様としては、なかなかに高レベルな走りが実現されていたことを付け加えたい。それに1日乗っていると、こちらはこちらでシンプルな仕様ながらも味わい深い乗り味走り味を備えていると評価でき、筆者がもし購入するならコレか、とも思ったのだった。

気持ちいい回転音だけを伝える環境

加えて室内の静粛性の高さも驚かされるものがあった。最初に試乗したA250の場合、エンジンと室内の間に設けられる隔壁(バルクヘッド)の前に、さらにもう1枚遮音のためのカバーが取り付けられており、エンジンのノイズがしっかりとカットされていた。このため、気持ちいい回転音だけを伝える環境が構築されていた。

合わせてボディの空力特性を磨き込みCd値0.25という優秀な性能を実現すると同時に、風切り音なども大幅に低減したことも静粛性の高さに大きく貢献した。ゆえにA250の静粛性の高さは、やはりクラストップといえるものだった。

エンジンの印象は相変わらずのメルセデス・ベンツらしさで、色気や官能はないものの極めて実直。A250に搭載される2.0Lターボは、低回転から350Nmのトルクが力強く出る設定となっており、わずかにアクセルを開けるだけで日常のほとんどのシーンをカバーできる。そしてアクセルを踏み込めば、しっかりと俊足を披露する。

一方でA200に搭載された1.4Lは、やはり実直な印象は変わらず。数値的にはA250に劣るが、それでも大人の男性3人で乗車しても力不足を感じることはなかった。普通に選ぶならばこの1.4Lがベストだろう。A250はいろんな意味で余裕を求める人に勧めたいグレードだ。

また静粛性に関しても、A200の場合はA250のようにエンジンルームと車室の間に2枚の隔壁があるのではなく、1枚のみの通常の隔壁が与えられるのみとなる。それだけにA250よりはエンジンのノイズは確実に届くものの、逆にいえば1枚の隔壁ながらきっちり高レベルな遮音はなされていると感じたのだった。

クルマの基本性能において確実にこのセグメントの頂点に輝く1台になった(写真:メルセデス・ベンツ)

実際に試乗してみて、今回の新型Aクラスは、“走る・曲がる・止まる”というクルマの基本性能において、確実にこのセグメントの頂点に輝く1台になったと評価できる。

もっともこの辺りは、4年以上にわたって開発が行われ、その過程で4大陸を述べ1200万キロも走っただけある、といえる部分。やはり走りのよさは、いまだ泥くさく徹底した走り込みが効くことを証明している。

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