4代目「ベンツAクラス」乗ってわかった超進化 これまでの自動車の価値観を大きく変える

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また最近のトレンドであるADAS(先進運転支援システム)を含んだ安全装備に関しても、今回のAクラスは同セグメントの頂点といえる盛りだくさんの内容を備えた。事実、ADASで見れば、上級のEクラスやSクラスと同じ装備が与えられていることは正直驚きだったし、これによってライバルに対する大きなアドバンテージを得ていると現時点では判断できる。

たとえば前走車との距離を一定に保ちアクセル/ブレーキ/ハンドルをクルマの側で操作する、アクティブディスタンスアシスト・ディストロニックはステアリング・アシスト付きを装備する。ちなみに歩行者と衝突しそうになったときは実際のハンドル操作以上に、回避操作を行うような機能も備える。

さらにブラインドスポットアシストは、走行中に後側方からの接近車両があれば警告を出したり、ハンドル操作を規制したりする機能があるが、今回はもう一歩踏み込んでいる。

後方から接近する車両や自転車に対しても反応して警告

たとえば車両を路肩の駐車枠に止め、エンジンを停止した後も3分間有効となる。これによってクルマから降りる際の、後側方から接近する車両や自転車に対しても反応して警告を発するという徹底ぶりである。

またEクラスに初めて搭載されて話題となり、その後Sクラスのフェイスリフトでも採用されたウインカー操作だけで車線変更する機能“アクティブレーンチェンジングアシスト”ですらAクラスにまで採用が拡大された。

これは複数車線道路で80~180km/hで作動し、ウインカーを出すと10秒以内に、前方、側方、後方の隣車線に障害がないかを自動的に確認し、周辺車両の車速も把握しつつ安全であれば車線を変更するという機能である。

こうして安全装備に関しても、新型Aクラスはライバルを大きく引き離す内容を実現している。結果ハードウエアとしては、欧州Cセグメントの中で見ても現時点で最も充実している。

しかし今回のAクラス最大のトピックは、こうした走りや安全装備といった完成度の高さや内容の充実度よりもむしろ、ライバルはもちろんメルセデス・ベンツ最上級の「Sクラス」ですら備えていない、新世代のインフォテイメントを真っ先に取り入れたことだ。

それがメルセデス・ベンツとしてまったく初めての、まったく新しいマルチメディアシステム、MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)である。

ダッシュボードに従来のメーターフードはない(写真:メルセデス・ベンツ)

今回のAクラスで印象的なのは、インテリアに目を移すと、ダッシュボードに従来のメーターフードがなく、ダッシュボードの半分以上を1枚のパネルが占めている新鮮な造形。これこそがMBUXの採用から生まれた新たな表示体系だ。

この1枚のパネルは実際には、10.25インチのディスプレーが2つ並べられる構成で、すでにSクラスやEクラスでも同じ方式が用いられている(にしてもSもEもメーターフードは存在するが)。

それぞれの画面はハンドルに搭載されたタッチコントロールボタンや、センターコンソールに置かれたタッチパッド、または画面に直接触れて動かすタッチスクリーンのいずれでも操作が可能となる。

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