「人と考え方が違う」のを恐れてはいけない 独創的な考えは猛烈な抵抗を受ける
メイプルソープは大衆の怒りもトラブルも恐れなかった。彼の豪胆さは、挑発的な被写体を巨大な画面にとらえた写真の一枚一枚に反映されている。彼は、「大きくすることは、写真をパワフルにすることだ」と言った。
もっとも「パワフル」では、言葉足らずだろう。彼の作品、とりわけヌードや性行為を表現したものは、しばしば展示をボイコットされたり禁止されたりした。1989年には、ワシントンDCの著名なコーコラン美術館が、予定していた彼の回顧展をキャンセルした。フランスの写真誌は最近、彼の作品を「最も衝撃的な作品であり、実際、アートの歴史において最も危険な写真」と評した。
「クリエイティブであるには勇気が必要」
クリエイティブ思考が社会を進化させてきた過程には、パラダイムを変えるほどのイノベーションがあふれているが、禁書、文化的な戦争、芸術家の迫害といった事例も無数に見られる。真の違いをもたらしたイノベーションのほぼすべてが、当初は、糾弾とまでは言わずとも、さまざまなレベルの抵抗に遭遇しているのだ。
アンリ・マティスは、絵画の世界を印象主義とポスト印象主義からモダニティ(現代性)へと推し進めた反逆者と呼ばれるが、自らの歩みを振り返って、「クリエイティブであるには勇気が必要だ」と語った。
ここに挙げた因習を打破した人々は真の被服従者であり、心理学者ロバート・J・スタンバーグが「新しく、少しばかり奇妙で非常識なアイデアを生み出し、促進しようとする人」と定義した人々だ。
1985年、スタンバーグらはその研究において、さまざまな職業の人に、「クリエイティブな人の核となるものは何か」とたずねた。その結果、「クリエイティブな人はリスクをとり、世の中で支持されている考え方を拒み、斬新なアイデアを支持する」という特徴が見えてきた。
大衆に逆らうには勇気が必要とされ、当然ながら大衆の意見に従うほうが簡単で気楽だ。だが、リスクと失敗は意義ある成功を収めるには不可欠であり、それどころか、あらゆる新しい取り組みに欠かせない要素なのだ。
スタンバーグらが説明するように、いかなる分野であれ、最も独創的な貢献は、大衆におもねるところからは生まれないのである。
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