「iPhone X」は販売不振どころか好調だった 速報!アップル1-3月期決算からわかること

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Apple Musicの購読サービス会員数は4800万人に到達した。毎月200万人の新規購読者を獲得しており、音楽定額サービスでは先行しているスポティファイの有料購読者数を米国市場では今年の夏頃に追い抜くとみられている。

またApple Payは具体的な利用者数を発表しなかったものの、アクティブユーザーは前年比で2倍となり、決済数は3倍になったという。クックCEOはあえて日本に言及し、「世界で最も混雑する東京の交通機関において最も成功したモバイル決済システム」と語った。

ウェアラブル分野はまだまだ伸びる

その他の製品についても触れていこう。

長らく低迷が続いていたiPadは911万台を販売した。前年同期比2%増、売上高は41億ドルで前期比6%増となった。なお3月27日に発表されたApple Pencilをサポートする329ドル(3万7800円)のiPadはこの決算に影響を与えていないとみられており、次の決算でその真価を問うことになる。またMacは販売台数407万台で前年比3%減、58億4800万ドルは前年比微増という結果だった。

iPhone、サービス部門以外で注目すべきは、その他製品だ。これにはApple Watch、AirPods、Beatsなどのウェアラブル製品とHomePod、その他のアクセサリなどが含まれる。売上高は39億5400万ドルで前年同期比38%と、サービス部門以上の成長力を見せつけた。

なかでもウェアラブル製品の売上高は高い成長力を誇っており、前年同期比50%増、すでにFortune 300企業の規模に匹敵するまでに成長しているという。2017年のFortune 500企業のリストを見ると、売上規模300位の企業は年間の売上高が92億ドル前後であることから、単純に四半期に分けると20億ドル前後を売り上げていることになる。

アップルは6月4日から、世界開発者会議「WWDC 2018」を開催し、最新のソフトウェアとそのアプリ開発環境を披露する予定だ。前述の通り、サービス部門へと指標を移していく中で、引き続き、世界中の開発者が作るアプリが非常に重要な位置づけを占めることは言うまでもない。

加えて、Apple Musicのような購読サービスについても、今後は雑誌やニュースなどへと拡張していくことが予測されており、関連する企業買収もすでに明らかになっている。また映像コンテンツ投資も、アマゾン、ネットフリックスを追随する構えをみせている。

強靱なサービス部門の成長を継続させながら、スマートフォン飽和時代における軟着陸を目指す動きの中で、アップルは今夏までに廉価版のiPhone SEの刷新、そして秋の新モデルには大画面モデルにも価格の安い製品を用意すると予測されている。

モバイル市場で主導権を握るアップルの今後の舵取りは、派手なものになりそうだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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