マツダが瀬戸際から復活を果たせた根本理由

車種の絞り込みと混流生産が競争力を生んだ

絶体絶命に追い込まれたマツダに救済の手が差し伸べられた。提携関係にあったフォードが資本を注入して出資比率を33.4%に引き上げた。直近の倒産を免れたのは事実だが、その後も苦難の道のりは続いた。

フォードは「400万台クラブ」構想の渦中にあった。当時まことしやかに語られていた近未来像は「グループで400万台を超えない自動車メーカーは生き残れない」という見方で、基本概念は大量調達によるコスト競争力の増強であり、それは短期決算の利益率向上を指標として評価された。今となっては何でそんな話が真に受けられたのかは定かではないが、当時は大真面目に受け取られ、ダイムラーとクライスラー、ルノーと日産など、多くのメーカーが合従連衡策を進めていた。

そうしたトレンドの中で、フォードは世界中から多くのブランドを集めた。ジャガー、ランドローバー、アストンマーティン、ボルボといった錚々たるブランドを傘下に収めたのである。

フォード傘下でマツダ・アクセラとフォード・フォーカス、ボルボV40は同一のプラットフォームを与えられた(写真:マツダ提供)

多くのブランドにフォードが音頭を取った共通プラットフォームを利用させることで、量産効果を高め、コストメリットを生み出そうと考えたのだ。たとえばマツダ「アクセラ」は、フォード「フォーカス」やボルボ「V40」と共通のシャシーとエンジンを与えられた。

シャシーとエンジンの開発を任された

マツダは小型車両のシャシーとエンジンの開発を任されたが、それはがんじがらめの制約の中で行われた。たとえば、エンジン一つとってもグローバルマーケットでのニーズに応えるため排気量は最大2.3リッターまでを視野に入れなくてはならない。

フォードからの受託によりマツダが設計したMZRエンジン。写真はマツダ用の2リッター(写真:マツダ提供)

隣接するシリンダーとの間隔をボアピッチと言うが、最大排気量を決めるもっとも大きなファクターはこのボアピッチだ。それを大きく取るということは、同時に国内でメインとなる1.8~2リッターに最適化できないことを意味する。

エンジン単体で見たら数十ミリ数キロの差かもしれないが、それを搭載するためにエンジンルームは大きくなり、ひいてはボディも大きくなる。大きくなれば重くなる。完成車になったときにはその最初の数キロが何倍にもなって返ってくる。

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