過剰摂取の反作用
西﨑副院長は、日本抗加齢医学会専門医で日本臨床栄養協会サプリメントアドバイザーでもあり、約7年前に開設した「抗加齢ドック」で延べ1300人以上の診察を行っている。中高年の体内の老化度を測り、必要な栄養素や食生活のアドバイスをする中で、サプリを活用する人々の体内の異変に気づいたという。
「健康に関心の高い人は、さまざまなサプリを日常的に活用しているため、ビタミンやミネラルなどの値が異常に高いことがあります。男性の場合は女性よりも鉄分を蓄積しやすく、その状態が長く続くと肝臓や神経にダメージを与えます。また、脂に溶けるタイプの脂溶性ビタミンA、D、Eの過剰な人もいます。そのため抗加齢ドックでは、サプリの過剰摂取をやめるようにアドバイスすることが多くなっているのです」
ビタミンAを過剰に摂取すれば、下痢や肝機能障害、倦怠感、皮膚障害などに結び付き、ビタミンDは、肝機能障害や嘔吐、倦怠感、さらには尿路結石や腎臓障害、高血圧など。AとDの過剰摂取による身体症状はいろいろあり、場合によっては死に至るおそれもあるから注意が必要。ビタミンEは、過剰摂取で骨の中がスカスカになる骨粗鬆症のリスクが高まると言われている。では、ビタミンCやビタミンB群といった水に溶けるタイプの水溶性ビタミンは、過剰に取っても大丈夫なのだろうか?
「水溶性ビタミンは、尿と一緒に体外へ排出されるため、脂溶性ビタミンよりも体内の蓄積はしにくい。ただし、水溶性ビタミンを過剰に摂取し続けると、体内の活性酸素を消去する能力が低下する可能性があります。活性酸素は細胞や遺伝子を傷つけ、老化や病気の後押しをしますが、その活性酸素を自分の力で打ち消す能力が減少してしまうのです。健康に役立つと言われているものでも、取りすぎは逆効果といえます」(西﨑副院長)。
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