日本人は「人口減少」の深刻さをわかってない 経済だけでなく社会全体の士気も弱っていく
③ 単純労働者も含めて海外から「移民」を受け入れる
シリア難民が欧州に押し寄せて、欧州全体が混乱に陥ったのは2016年のことだが、日本は世界的にも外国人労働者を移民として積極的に受け入れていない国として知られている。とはいえ、実はすでに200万人を超す移民人口がある。2015年の「移民人口」データで見ると、世界のベスト5は次のようなランキングになる(資料出所:世界銀行 World Bank)。
1位 米国……4662万人
2位 ドイツ……1200万人
3位 ロシア……1164万人
4位 サウジアラビア……1018万人
5位 英国……854万人
28位 日本……204万人
デフレからの脱却への数少ない道
ちなみに、日本の在留外国人数は2017年6月末の段階で中長期在留者数は213万人。特別永住者数などを合わせると全部で247万人になる。この数字が多いか、少ないかは判断の分かれるところだが、実際に日本で暮らす外国人はもっとはるかに多い印象がある。
人口減少社会の解決法として最も近道といえば、言うまでもなく移民受け入れの増加だろう。米国情報大手のブルームバーグは、日本が早期に外国人の人材を受け入れていれば、超大国になっていただろうとする社説を出したことがある。とりわけ、IT(情報技術)やAIなどの高度なスキルや才能を持つ優秀な人材の獲得競争は、10年以上前から世界的に起きていたことであり、その流れに乗り遅れた日本は今後、そのツケを払わなければならない。
移民の受け入れは、治安悪化、賃金下降を招きデフレを強める、神社がモスクに変わったり、日本の文化を守ることが難しくなったりする、といったデメリットがあることは間違いない。しかし、コンピューターなどの才能や知識を持った高度人材を受け入れるためには、どうしても移民規制を緩和するしかないだろう。
人口減少社会の影響は、確実にわれわれの生活を変化させている。街にあった学習塾やコンビニ、ラーメン店が閉鎖され、代わりに有料老人ホームや高齢者向け業務サービスを届ける施設に代わっている。人口減少社会の経済に対する検証を公平な立場から、より正確に精査すべき時期がきている。
しかも、この少子高齢化は日本だけではなく、お隣の韓国や中国までもが抱える課題になりつつあるといわれる。すでに外国から多数の移民を受け入れてきた欧米各国では解決済みの問題かもしれないが、国境に“高い壁”を築いてきた日本にとって、まさにこれから解決しなければならない重大な課題と言っていいだろう。
ひょっとしたら、人口減少社会の解決こそが、長年苦しんできたデフレからの脱却への数少ない道なのかもしれない。アベノミクスや異次元の金融緩和では、デフレ脱却できない可能性が高いのだ。
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