日本人は「人口減少」の深刻さをわかってない

経済だけでなく社会全体の士気も弱っていく

つまり、首都圏など人口密集地でマイホームを取得した平均的な日本人は、生涯資金のうち数千万円は“消滅”していることになる。マイホームは、投資ではなく「消費」だと言われるゆえんだが、生涯資金の相当の部分を消滅させてしまっているのが、日本人の平均的な姿なのだ。

いずれにしても、欧米のように土地よりも建物の価値が維持されている不動産市場とは異なり、日本では土地価格しか残らないということだ。

こうした背景にあるのが、人口減少社会だ。アベノミクスが始まって以降、どんどん住宅やマンションが建設されているが、人口が減少していくというのに誰が住むのか。外国人投資家の先行投資の対象になっている都心部の不動産ブームも、いつまで続くのか不透明だ。

実際に、都心の一部を除いて住宅やアパート、オフィスは余っている状態だ。

都心の一等地では、オフィス空室率2%といった報道がされているものの、全国的に見れば7軒に1軒が空き家状態で、全国の空き家率は13.5%(2013年現在)に達している。空き家やアパートなどの空室が増えている原因は、言うまでもなく過疎化であり、人口減少社会が起因している。

日本の住宅価格は、2010年に比べて2040年には平均で46%下落するというシミュレーションもある。少子高齢化が進む今後は、共同住宅で積立修繕金が不足して、建て替えもできない物件がどんどん増えていくことも予想される。

今後は、建て替えられない老朽化したマンションに住み続ける高齢者が都市部を中心にあふれかえることになる。

⑤「2018年問題」に揺れる教育現場

人口減少社会の最前線といえば、やはり教育現場だろう。

前出の人口問題研究所の地域別将来推計人口では、2042年には高齢者増加のピークを迎え、地方都市の多くで運動会や遠足が廃止され、「受験」で苦しむ子どもの数は少数派になりそうだ。

東京大学は25年後でも難関校であり続けるだろうが、早稲田、慶応といった有名私立大学でさえも定員割れに陥るかもしれない。現実に、有名私立校も含めて都心部に学校があった大学などが、2010年代に入ってから「関東ローカル化」を推進していると報道されている。

地方の大学進学希望者の多くが、経済的な理由から学費の少ない国公立大学に流れており、やむをえず都心にあった名門私立大学も、学校を地方に移してローカル化することで定員を確保しようとしている。

いずれにしても、教育産業全体が衰退していくことになるのは間違いない。実際に、大学受験業界の現場では18歳以下の人口が加速度的に減少する「2018年問題」という課題が、業界のリスクとされている。

行き着く先は社会保障制度の崩壊?

こうしたさまざまなリスクに加えて、今後とりあえず直面せざるをえなくなるのが、人口減少および高齢化社会の進展による税収不足だろう。

とりわけ、人口減少で直面するのが、税収減と社会保障費の負担増だ。2018年度の社会保障関係費は33兆円の予算だが、将来的にはどこまで膨れ上がるのか想像もつかない。1990年度の決算数字では、わずか11兆5000億円しかなかったことを考えると10年間で10兆円ずつ増えている勘定になる。

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