大阪を東西に貫く新たな動脈が開通--京阪電鉄・中之島線

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大阪を東西に貫く新たな動脈が開通--京阪電鉄・中之島線

「出発進行」--。京阪電気鉄道の新線「中之島線」が19日、開業した。午前5時12分発の始発電車には、鉄道ファンや地域住民など100人を超す乗客が押し寄せ、車内は満員状態。出発に合わせて開催されたセレモニーで、同社の上田成之助社長は「期待を担っての開通をヒシヒシと感じています」と述べた。

中之島線は、本線の「天満橋駅」から2.9キロメートル延伸し、「中之島駅」まで4駅を新設している。これにより、中之島から京都までを一本の線で直結することになる。大阪市の中心部に位置する中之島は、堂島川と土佐堀川に囲まれた東西3キロメートルほどの島。大阪市役所や大企業のオフィスが並ぶ行政・経済の集約地だが、市内にはこれまで東西方向の鉄道が通っていなかったため、交通の不便さが弱点とされてきた。新線の開通により、東西方向の人の流れが生まれることが期待される。

新駅には無垢の木やガラスを主な素材として使用し、「和」を演出。ホームにはほのかに、木の香りが漂っていた。

京阪電鉄は、新線効果で年間約30億円の収入を見込む。ただ、狙いは輸送人員の増加だけではないだろう。少子高齢化などを背景に輸送人員の低下傾向が続く中、同社は沿線の不動産やホテル、商業施設を中心とした収益を強化する中期計画を描いている。中之島においても商業施設で構成する超高層ビルの建設計画が進行中だ(大林組との共同事業、2012年開業計画)。中之島の地域活性化の一翼を担うことで、業績向上にもつなげる戦略であろう。

もっとも、大阪は「キタ」や「ミナミ」、さらに阿倍野地区などで大規模な再開発事業が目白押しで、地域間の“顧客争奪戦”が今後激化する見通しだ。一方で、昨今の景気不況感も懸念される。

華々しく開通した中之島線ではあるが、先行きは決して安泰ではないだろう。
(梅咲 恵司= 東洋経済オンライン)

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