27歳、発達障害で性依存に陥った彼女の真実 「当事者が悩みについて話せる場を作りたい」

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コミュニケーション能力の不足が原因で性依存に陥ってしまったが、現在は結婚を前提に交際中のパートナーの下、性依存は回復している。しかし、今後もいろんな男性とかかわっていく中で、またいつ性依存に陥ってしまうかわからないと思う恐怖があり、まだ完全に克服できたとは思えないと語る。

性依存について話しやすい場を提供したい

今、彼女は、人から嫌なことを聞かれたらNOと言うだけでなく、「私はこうしたい」という気持ちをどう言葉で伝えればいいのか、苦戦しながら探っている最中だ。

「自分の経験から、性に関する正しい情報を伝えられる側になりたいと、性に関する団体に複数所属し、学び直すことも兼ねてお手伝いをしています。中高生を対象にした講演活動でデートDVや性被害に遭ってしまったときの対処法について伝えたこともあります。これはまさに、私が中学生のときに知りたかった内容です」(莉奈さん)

また、以前は発達障害の当事者会や自助会に参加した経験のある莉奈さんだが、二次障害で性依存を併発する人もいるのに、自助会では性依存について話しづらい雰囲気だった(うつ病やその他の精神疾患については話せる雰囲気)。定型発達の人でも、性に関する話題を避けたがる人もいる。

「定型発達の人と比べると、当事者のほうが性について話したい人と話したくない人の差が激しい傾向にあります。当事者の中でも、もっと性について語れる場を増やしていきたいです。性って本来すごく大事なことなのに全然話せていない。『それならば、性について話したい人だけが集まればいいじゃん』と思われるかもしれませんが、そうなると今度はその人たち同士でどういう距離感で話せばいいかという問題が生まれます。

その結果、性被害の事件が起こった際『あの容疑者、発達障害なんじゃないの?』と疑われる事態になり、悪い意味で発達障害が取り上げられてしまいます。それは性に関して話せる場がなかったからということも関係しているのではないかと。発達障害と性、両方について向き合う機会があればいいと思います。

自助会のようなクローズドな場はたくさんある一方、オープンな場は発達障害バーくらいしかありません。だから、自助会でもなく饒舌な交流会の場でもなく『自助会以上、居場所未満』の中間層を今後作っていきたいです。発達障害の人に向けて、性の悩みや性被害を少しでもなくせたらと思います」(莉奈さん)

発達障害と性は関係がないように思っていた読者もいるかもしれないが、発達障害の特性がもとで性依存に陥ったり、性被害を受けたりして苦しんでいる当事者もいる。一方で、昨年末からは、性被害についてネット上で声を上げる#MeToo運動も起こり、性や性被害に関して関心が高まっている。性と向き合うべきなのは発達障害者だけではない。

姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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