しかし、こうした学費を上回るメリットがあります。自己都合で仕事を辞める場合、勤続10年未満であれば、失業手当がもらえる日数はわずか90日です。ところが、45歳未満の方で、昼間通学制の専門実践教育訓練を受講するなど一定の要件を満たした場合に、受講が終わるまで「教育訓練支援給付金」をもらい続けることができるのです。これは2022年3月末までの時限措置として設けられており、もらえる額は、失業手当の日額の80%に相当する額です(2017年12月31日以前に受講開始した専門実践教育訓練の場合は50%)。
ご自分の失業給手当をもらえる期間は、通常の失業手当をもらい、その後引き続き専門実践教育訓練を受ける場合は、教育訓練支援給付金としてその教育訓練が終了するまでもらうことができます。専門実践教育訓練給付は1年~3年と長期間におよぶので、こうした支援を受けながら学べることは、実にありがたい制度と言えるでしょう。
さらに、専門実践教育訓練の受講を修了した後、あらかじめ定められた資格等を取得し、受講修了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された方またはすでに雇用されている方に対しては、教育訓練経費の20%に相当する額が追加して支給されるのです。
つまり、すでに給付を受けた額と合わせると、70%に相当する額が支給されることになります(訓練期間が3年の場合、最大で168万円)。実際に利用される場合は、細かい受給要件などについて、事前にハローワークでご確認ください。
ハロートレーニングを活用する方法
専門実践教育訓練を受ける以外の方法としては、ハロートレーニングを活用する方法があります。ハロートレーニングとは、職業に必要な知識や技能を習得させる能力向上のための公共職業訓練で、離職した人や在職者を対象としたものなど種類が分かれています。ここでは、失業手当の受給者を対象とする離職者訓練を取り上げます。
受講するためには、ハローワークに求職申し込みをした後、ハロートレーニングを実施する施設が行う面接等の選考に合格し、ハローワークにおいて受講あっせんを受ける必要があります。受講あっせんについては、ハローワークでの職業相談を通じて、訓練を受講することが適職に就くために必要であると認められ、かつ、訓練を受けるために必要な能力等を有するとハローワークが判断した場合となります。必ずしも年齢制限があるわけではありません。
職業訓練の場合、そのほとんどは3カ月から6カ月の短期訓練が中心です。内容は機械、電気、金属加工、建築設備などの現場系の技能習得コースから、事務職に向けたパソコン・IT(WebデザインやCADなど)スキル系、医療・介護福祉系等、多数のコースが取りそろえられています。費用は原則として無料(テキスト代などは自己負担)で、1年以上の訓練になると有料となりますが、年間10~20万円程度です。
職業訓練を受けるメリットとしては、訓練を受けている期間は失業手当をもらえる(期間がまるまる延長される)ということです。さらに、受講手当として職業訓練を受講した日ごとに500円が支給されます(最大40日分)。また、通所手当という名称で、1カ月最大4万2500円まで交通費の支給を受けることができます。ほとんどおカネをかけずに訓練を受講でき、その間の生活保障として失業手当がもらい続けられるというのは魅力と言えるでしょう。
人生100年時代と言われる中で、絶えずその先の一手を考えて、自らスキルアップを図っていくことは、これからますます重要になっていきます。一度身に付けたスキルも、時間が経てば陳腐化してしまうリスクにさらされています。
退職という節目において、こうした制度をフル活用してみるというのも、これからキャリアを構築するうえでひとつの方法といえるかもしれません。
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