今回の公聴会で、ミュラー特別検察官の捜査に関して、いろいろ追及を受けたとき、ポンペオ氏は、こう言うべきではなかったか。「私の尊敬する母校ハーバード大学ロースクールのアラン・ダーショウィッツ名誉教授のご意見を今後参考にして、さらに一層勉強に励みたいと思う」と。できる法律家ほど、生涯、「法の学徒」でもあるというのは、米国社会の常識である。
ダーショウィッツ名誉教授の名を出せば、その後の民主党上院議員たちの、非常識なほどに執拗で、かつ無数かと思うほど数多い、ミュラー特別検察官の捜査をめぐる質問を未然に防げたはずだ。そうしなかったポンペオ氏は、ネゴシエーターとしても、未熟だと筆者は判断している。
ポンペオ氏は、国務長官として指名承認されるかどうか、彼自身心配のあまり、ヒラリー・クリントン元国務長官にも、公聴会の前に相談したと、米メディアが伝えている。トランプ大統領のライバル中のライバルであるヒラリー氏に相談して助けを求めること自体、もはやトランプ大統領への真摯な忠誠心という点で落第点をつけられても仕方あるまい。
国務長官としての力量はあまりにも未熟
トランプ大統領は、ウォール街でもネゴシエーションの天才として高く評価されている。それに比べてポンペオ氏の交渉力、国務長官としての力量はあまりにも未熟と言わざるをえない。
昨年夏、ティラーソン国務長官解任の後継者としては、ニッキー・ヘイリー国連大使の名前が挙がり、いつのまにか、その名前は消えてしまったが、トランプ大統領の選択肢として、ポンペオ氏以上にシャープなヘイリー氏が念頭にあるのではないか。
トランプ大統領の自然な持ち味であるスピード人事から考えれば、ポンペオ氏は「短期・中継ぎ」(ショートリリーフ)役で、そのあとにヘイリー氏を含めて検討するというオプションが加わったともいえる。ただ、このままポンペオ氏が新国務長官に就任すれば、まずは同氏のトランプ大統領への忠誠心の強化が不可欠ということになる。
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