このポンペオ氏の自信のなさは、名門ハーバード大学ロースクールの名誉ある『ハーバード・ロー・レビュー』の81人の編集者の1人に入ることはできたものの、卒業後、ワシントンの法律事務所で税務弁護士として、2年半しか法律実務経験がなかったことと関連があるのかもしれない。
米国の法律家の世界には、「税務弁護士というのは、1カ月休暇を取ったら、役に立たなくなる」ということわざがある。米国の税法や各種の規制は、1カ月で大きく変化してしまうことがあるからだ。税務弁護士として2年半の短い実務経験では、ポンペオ氏が上院公聴会の百戦錬磨の議員たちに太刀打ちできなかったとしても不思議ではない。
ポンペオ氏は、本来、公聴会の「本題」ではない、トランプ大統領とミュラー特別検察官の件に関して、数多くの上院議員たちに繰り返し追及され、まるで「いじめっ子たちに、愛想笑いをする」かのような、カッコ悪い、米国では情けない証言態度をあらわにしてしまった。
ポンペオ氏がトランプ大統領を守っているから、攻撃されたのではなく、むしろトランプ大統領を守る気持ちが薄いのを民主党議員に見透かされ、国務長官の職務とは論理的に関連性の薄いミュラー特別検察官がらみの件で、いろいろ追及されるハメに陥った。それには、トランプ大統領への忠誠心の欠如があるからだと分析することができる。
弁護士への家宅捜査は民主主義の危機だ
いま、トランプ大統領が激怒していることがある。それは、ミュラー特別検察官が舞台裏で仕組んだ、トランプ大統領の個人弁護士の一人のオフィス、自宅、長期滞在先のホテルなどへの家宅捜査だ。
この家宅捜査自体、法的主体としては、連邦検事局によってなされたが、当の連邦検事局も公表しているように、すべての法的な下ごしらえをアレンジしたのは、ミュラー特別検察官だった。すなわち、トランプ大統領の個人弁護士の一人に法的および精神的な攻撃を加える目的で、連邦検事当局を活用したという筋書きである。
すでに本欄「捜査文書公開はトランプ再選への光明になる」でも言及したが、米国憲法と刑法にまたがる法領域で、最高権威として著名なハーバード大学ロースクールのアラン・ダーショウィッツ名誉教授は、ミュラー氏が仕組んだ今回の捜査について、「弁護士への家宅捜査はアメリカ民主主義の危機」とテレビで喝破している。熱心すぎる検察官も危険だが、同名誉教授によると、ミュラー特別検察官は誤った方向性で自分を見失い、迷走しているというのだ。
トランプ大統領は、「これは国家への攻撃だ」として激怒している。その「国家への攻撃」にあたる根拠は2つある、1つは、ダーショウィッツ名誉教授がテレビで明言しているように、ミュラー氏の捜査や聞き取りに対して、トランプ氏の個人弁護士は、100%応じており、それ以上の家宅捜査は法律家業界では「おきて破り」な点だ。
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