ドナルド・トランプ大統領は、1月30日、恒例の最終火曜日に大統領就任後初の一般教書演説を行った。“New American Moment”(新しい米国の時代)を前面に打ち出し、意気揚々とした最高潮の演説だった。
このトランプ大統領の演説には、いかにもトランプ大統領らしい自信たっぷりの持ち味が随所に発揮されたが、いつになく余裕しゃくしゃくの表情に見受けられた。というのは、その1日前の1月29日、トランプ大統領の「思うツボ」にはまることが起こったからだ、と筆者は分析している。
その「思うツボ」とは、ロシア疑惑捜査をめぐる秘密文書の米国民への公開が、首都ワシントンの現地時間、1月29日夕刻に米下院情報委員会で可決されたことだ。このことが、トランプ大統領の「再選」に、明るい道を開く可能性は大きい。なぜなら、この秘密文書の内容が公開されると、トランプ再選の最大の足かせとなってきたロバート・ミュラー特別検察官の戦略に大きなダメージを与える可能性が高いからだ。
ミュラー氏の事情聴取を「楽しみ」と言ったワケ
この秘密文書とは何か。それは米下院情報委員会のデヴィン・ニューネス委員長(共和党)が調査・発掘したものであり、そもそも選挙期間中の連邦捜査局(FBI)や司法省のトランプ陣営に対する「ロシア疑惑捜査」には、「反トランプ」のバイアス(偏向)があったという極秘文書である。その文書は、FBIの関係者などがFISA(外国情報監視法)を乱用した疑いがあるというものだ。
民主党が公表に猛烈に反対したのは、この文書が公開されると、トランプ陣営のロシア疑惑捜査を主導した当時のFBIや司法省の高官たちの権威が失墜する懸念があること、さらに、ミュラー特別検察官によるロシア疑惑捜査が大きなダメージを受ける可能性があるという判断があったからだ。
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