40代の迷える子羊たちが求める「正解」の誤謬 社内に残るか外に出るか「納得解」を求めよう

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しかし、そこに適性を発揮できる人が実際にはどれくらいいるでしょうか。実のところ、7~8割くらいの人は向いていないのではないかと私は思います。であるなら、もっと多様なフィールドで、自分に向いている場所に早く足を向けたほうがいいかもしれません。

「転職・独立」と「組織にとどまること」のリスクは、40代半ば以上からは、ほぼ同じと考えてもいいのではないでしょうか。

どんなに貢献しても、会社はあなたのことを記憶しない

Q)「担当部長」なる肩書の部下なし部長になってしまいました。明らかに出世ラインからは外れており、もはや同期を逆転する見込みはありません……。

A)最近は、現場にとどまりながら年俸や条件を上げる交渉をする人がいます。つまり自分の仕事の専門性を極めて、組織内の階級ではなく、ある分野でのエキスパートを目指していくというパターンです。このように、現場にとどまり、自分の力を十分に発揮する方法を考えてみるのもよいでしょう。

ただし、1つ知っておいてほしいのは、「会社は自分の人生を記憶してくれるものではない」ということ。「自分以外にこの仕事はできない」「出世して取締役になって名前を残すんだ」などと思っていても、会社は人が入れ替わっていくものですから、どんなに会社に貢献し、名をなしたと自分では思っていても、いつの間にか忘れられてしまうものです。

企業の組織やシステムというのは、収益を拡大する局面では、取り替え可能な人を求め、事業を継続していくために必要な作業を無限に標準化していきます。「自分がいないとこの会社(事業部)は回らない」と思ったところで、組織の力学は「誰でもできるように」動いているのです。創業者ですら、株を手放せば忘れ去られる運命にあります。

自分の人生を記憶してくれるのは、会社組織ではなく、家族を含めたコミュニティの方です。自分がどんなに頑張ったか、苦労をしたか、仕事ぶりはどうだったかは、自分の家族や所属するコミュニティの人たちの間に「物語」として残ります。いっぽう、組織は社員一人ひとりの業績や記録を次々に上書きし、更新していきます。

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