なぜかというと、確かに480万円預けて、最終的には約630万円戻ってくるなら、「150万円増える」のは間違いではありません。しかし素直に150万円「も」、と言えるでしょうか。
預けたおカネの一部は手数料で「消失」
契約からおカネが最後に戻ってくる86歳までの40年間の年利回りにすると0.78%です。しかもよく見ると、支払う年間保険料48万円から、コストとして年6万0240円も手数料で差し引かれ、実際に運用に回っているおカネは41万9800円ほどですので、おカネの置き場所としては、かなり損なところですね。
史織さん:子どもが大学に入学するとき解約するつもりだったのですが……。
岩城:お子さんが大学に入学する15年後の返戻率は108.4%ですね。年利回りにすると0.57%ということになります。
史織さん:預貯金の金利より少し良いくらいでしょうか。
岩城:保険と預金の利回りを比べるのは間違っていますよ。普通預金におカネを置いておけば、インフレなどによる実質的な目減り分などがなければ、おカネが減ることはありません。しかし、この保険は、7年間、ずっと元本割れで、8年目にようやく返戻率が100.9%に回復するのです。そもそも、個人年金保険は貯蓄と保障の2つの機能があるため高コストです。貯蓄と保障は、別に考えるほうが経済合理的ですね。
史織さんは、この保険以外には保険には加入していませんね。もしものことがあった場合のことを考えて、掛け捨ての生命保険に加入しておきましょう。ネット生保ならば、たとえばA社なら、死亡保障2000万円、10年定期で保険料は月額4314円です。次の更新時には、「お子さんへの養育義務を半分果たした」ということで、保険金額を減額すれば、保険料の負担を抑えられます。
保険と貯蓄を切り分けたうえで、今後、どのようにおカネを貯めていけばいいかを考えましょう。「3つのステップ」で考えるとわかりやすいと思います。
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