地下3000メートル!「CO2貯蓄施設」の実態

苫小牧の実証実験センターを現地ルポ

CO2の圧入・貯留に適しているのは隙間の多い砂岩などの地層を、CO2を通さない泥岩などの地層がサンドイッチしている必要がある。こうした条件を満たした日本での潜在的なCO2貯留可能量は約1400億トン(日本の年間排出量の約100年分)あるとさている。

とはいえ、これはあくまで机上の数値。近くに断層がないなどさまざまな条件を満たす必要がある。こうした条件をクリアしており、実証試験に選ばれたのが苫小牧だった。

苫小牧では2012年から地上設備の設計・建設、坑井の掘削を開始。 2016年4月から試験操業を開始し、2017年2月から本格的にCO2圧入を始めた。2018年度末までの3年間で30万トンを圧入する計画だ。

萌別層につながる坑口装置。CO2の圧力計は7.6メガパスカルを示す。万一のための複数の安全装置を備える(記者撮影)

初年度、製油所のメンテナンスによる休止時に一部の海水中のCO2濃度がわずかに規定値を越え、調査のため約半年操業が止まったり、滝の上層への圧入量が計画を下回るなど、細かな想定外は起きている。

ただ、CO2濃度の問題は自然変動の範囲でその後は問題が出ていない。滝の上層の代わりに萌別層へは想定以上に圧入できている。この3月で圧入量は15万トンを突破。若干遅れ気味ではあるが、実証試験はおおむね順調に進んでいる。

実用化へのハードルは?

それでも実用化へのハードルは高い。

まずは貯留量。80万キロワットの大型石炭火力発電所では年間約500万トンの CO2を排出する。合計30万トンではほとんど意味をなさない。“使える”ようになるには1億トンレベルまでメドを付ける必要がある。

コスト削減も大きな課題だ。苫小牧プラントは建設費だけで約300億円、候補地選定や操業(回収・圧入・貯留)も合わせれば総費用は600億円超。それで削減できるCO2量が30万トンでしかない。

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