アラフィフ女性がポーランド移住で得た人生 日本人は暗いイメージを持つかもしれないが

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そこで、改めて考えてみた。なぜ、この国にこんなに惹かれるのか。「理屈ではなく、好きになっちゃった」というのが本当のところだが、それでもいくつか、ほかの国には感じなかった魅力があるので紹介したい。

日本人にとってポーランドというと「旧共産圏の暗い国」というイメージを持つ人が多いのではないだろうか。しかしそこから脱却して30年近く経っている。旧共産圏のイメージでこの国を訪れれば、いい意味で期待を裏切られるだろう。

ポーランド人のいいところは?

EU加盟後、急速に経済発展をしているポーランドは、世界経済がリーマンショックの打撃を受けた2009年でさえ、EU圏で唯一、プラス成長を誇り、現在も3%前後のGDP成長率を誇っている。特に中間所得層に勢いがあるとされ、彼らは消費を楽しんでいる。そういう空気感が街に漂っているように思う。

ポーランド人も本当に魅力的だ。もちろん個人で違うが「心配性でおせっかい、まじめでちょっと不器用、頑固で不愛想だけど心根は優しい」というのが大まかな特徴ではないだろうか。

「ポーランド人のいいところは?」と聞かれたら「イノベーティブなところ」と答えることが多い。ポーランド人は自国の文化に非常に誇りを持っている一方、いいものであれば、新しいものでも受け入れる度量がある。たとえば「日本人の感性でアレンジしたポーランド料理」というものも喜んで受け入れてくれる。ただし、まずいものを作ると見向きもしない。そういうストレートさも私は好きだ。

国民の8割以上がカトリック教徒とされる国だけに、イースターやクリスマスなどの行事は大きな意味を持っている。移住して初めてのクリスマスにはこんなことがあった。ポーランドでは、クリスマスイブは「Wigilia(ヴィギリア)」と呼ばれ、家族や親戚のみで過ごすのが基本だ。

家族のない私は、フェイスブックに「誰かヴィギリアの晩餐に招待してくれない?」と書き込んだのだが、まったく反応なし。やはり気軽に他人を誘うようなものではないのだな、と納得し一人で過ごすつもりでいたのだが、直前にまた「イブに何の予定もないんだけど、もしほかに暇な人がいたら、一緒にバルシチやマコヴィエツでも作らない?」と書き込みをした(バルシチ、マコヴィエツはクリスマスの定番料理)。

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