アラフィフ女性がポーランド移住で得た人生 日本人は暗いイメージを持つかもしれないが
最初のイベントとなる「ポンチュキ・ナイト」を開催したのは2015年2月。Pączki(ポンチュキ、あるいはポンチキ)とはジャムなどが入った丸ドーナツ。ポーランドでは最もポピュラーなお菓子の一つで、「脂の木曜日」と呼ばれる日にはこのポンチュキを大量に食べる習慣がある。「脂の木曜日」はカトリックの習慣に由来し、復活祭前の断食期間直前の木曜日を指す。
ポンチュキは、ポーランド語のユーチューブやレシピサイトを見て試行錯誤を重ね、自分なりのレシピを作り上げた。2016年のイベントの際には1人で150個作り、在東京ポーランド人ユーチューバーのネタにもなった。この3年の通算では500個以上は作っただろう。
老後資金を取り崩して暮らすことに
その後、同じくポーランド名物のピエロギ(ポーランド版ギョーザ)を食べようというものなど、約2年で10回のイベントを開催。「より多くのポーランド人と知り合いたい」という狙いどおり、多くのポーランド人が来てくれた。ここで築いた人脈が、後に移住するときに大いに役に立つこととなる。
ポーランド人の友人が増えるにつれ、リアルなポーランド情報も増えていく。知れば知るほどますますポーランドが好きになり、真剣に暮らしたいと思うようになった。20年前とちょっと違うのは、「海外に住みたい」のではなく、「大好きなこの国に住みたい」というところだ。
とはいえ、移住するにはさまざまな問題がある。まず考えるべきはおカネの問題。フリーランサーなので日本での仕事を向こうでも続ける、といっても、仕事の大半はクライアント先に出向いての取材などが必須なのでポーランドでやることは不可能。ライターとしての仕事はお小遣い程度にしかならないだろう。よって、当面は老後資金として貯めていた貯金を取り崩して生活することに決めた。
ビザの問題もある。永住権はともかく、とりあえず1~3年程度は、留学、就労、ビザなし渡航などいくつかの方法が考えられる。生活費も学費も比較的安いので、予算と状況に合わせて選択可能なはずだ。よく「ポーランド人と結婚すれば永住権を取得するのは簡単」と言われるが、自分にとっては、非常にハードルが高い方法だと思っているので、検討していない。
このほかにも、治安や物価、医療費なども考慮した。ちなみに、物価は日本よりずいぶん安く、私の場合、ワルシャワでの生活費は東京の5~6割程度。また、医療費についても、ポーランドはEU圏の中で比較的安いとされている。
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