AIアシスタントは「今後5年間」で急浸透する 2020年には「一家に2台以上」も?
一般家庭と並んで、ホテルの客室や受付などでも活用が進むと考えられる。
米国スタートアップ企業のVolaraは、ホテル客室に設置したAmazon Echoを利用して、宿泊客からの質問やリクエストに対応する簡易コンシェルジュサービスを提供している。
宿泊客は、Echoに問いかけることで、ルームサービスの依頼、おすすめのレストランの情報、客室内のテレビや照明のオン・オフ、チェックアウト時刻の確認など、さまざまなサービスを受けられる。宿泊客からよくある問い合わせには、フロントを介さずEchoが対応することで、フロントの業務削減とすばやい回答による宿泊客の満足度向上を図ることができる。
Volaraは、米国のヒルトングループのホテル、ウェスティンホテル、JWマリオットホテルなどでも導入が始まっている。
AIアシスタントデバイスの普及は、屋内だけにとどまらない。有力視されているのが、クルマへの搭載である。
ドイツの大手自動車メーカーBMWグループは、2018年中ごろから米国、英国、ドイツで販売される「BMW」および「MINI」ブランドの車両にアマゾンのAIアシスタント「Alexa」の搭載を始めると発表した。スマートフォンなどを介さず、音楽を聴いたり、目的地の天気を確認したり、近くのおすすめの飲食店を調べたりできるようになる。
Alexaの車両への搭載は、ほかにもフォード、フォルクスワーゲン、トヨタが対応を発表している。一方、アウディとボルボ・カーズは、車内で「Google Assistant」を利用できる車載システム「Android Auto」を次世代モデルに搭載することを発表している。
「声だけインターフェース」からの変化
これらのAIアシスタントデバイスのユーザーインターフェースは、現在のところ主として音声のみである。しかし、音声のみではできることが限定されるため、実際に使われるシーンは非常に限られる。
たとえば米国の調査会社comScoreが2017年4月に実施した調査によると、Amazon Echoでよく利用されている機能の上位3つは「一般的な質問」「天気」「音楽の再生」であった。一方で、「商品の注文」や「食事やサービスの注文」といった機能はあまり使われていない。
しかし、ユーザーとAIアシスタントデバイスをつなぐインターフェースも進化がはじまっている。
第一の進化の方向性は、ディスプレイによる表現力の強化である。
アマゾンは、2017年6月からタッチディスプレイ付きの「Echo Show」を発売。2018年1月に開催されたInternational CES(Consumer Electronics Show)2018では、LenovoやLGなど複数のメーカーからGoogle Assistantが搭載されたディスプレイ付きAIアシスタントデバイスが発表された。
また、テレビとの連携も進みつつある。アマゾンはテレビに接続して動画配信サービスを視聴できる「Fire TV」とAmazon Echoとの連携も発表した。グーグルも同様に「Chromecast」とGoogle Homeの連携を発表している。こうした一連の動きは、テレビやディスプレイを通じて、音声だけでなく、文字や画像による情報提供も可能になることを意味する。
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