AIアシスタントは「今後5年間」で急浸透する 2020年には「一家に2台以上」も?
さらなる進化の方向性として、3Dカメラを搭載する動きも見られる。
アマゾンは2017年4月にインテル製の3Dカメラを搭載した「Echo Look」を発表。招待制ではあるが米国での販売を開始した。Echo Lookは、Amazon Echoの基本機能に加え、専用のスマートフォンアプリと3Dカメラを使い、日々のファッションスタイルの登録や、独自の機械学習アルゴリズムを用いた「スタイルチェック機能」などを提供している。
このようなインターフェースの多様化により、AIアシスタントデバイスの使われ方にも変化が訪れるだろう。音声だけではなく、ディスプレイやテレビと連携して表現力やリアリティを高めることで、「商品の注文」のような利用が増える可能性もある。また、3Dカメラの活用で、パソコンやスマートフォンではできないような購買体験が可能になるかもしれない。
AIアシスタントデバイスは、家庭における新たなショッピングチャネルになる可能性も秘めている。
AIアシスタントデバイスのロードマップ
以下に、野村総合研究所(NRI)が5年程度先までのITの将来動向の予測として毎年継続的に作成し、書籍としても上梓している『ITロードマップ』の最新版(2018年版)から、AIアシスタントデバイスのロードマップを示す。
スピーカー型のAIアシスタントデバイスの普及に伴い、家族の誰でも使えるサービスではなく、個人向けのサービスも増えてくるだろう。その際に重要になるのが、個人を識別し認証する技術である。
Amazon EchoやGoogle Homeでは、音声でユーザーを識別するマルチユーザー対応機能を提供している。ただし、この機能は特定のデバイスを利用している家族の中から話者を識別する機能であり、ある程度のセキュリティレベルが求められるサービスの認証に使うのは難しい。音声だけでなく、たとえばカメラを使った顔認識やジェスチャーなども組み合わせた話者認識技術により、個人を識別したよりセキュリティレベルの高いサービスの提供も徐々にはじまるだろう。
このころになると、スピーカー型以外のデバイスへのAIアシスタントの搭載が広がる。Alexaの機能の搭載では、自動車とテレビがとくに有望である。実際、複数の自動車メーカーが、車載AIアシスタントについて発表している。また、テレビについても、米国ではAlexa搭載テレビやGoogle Assistantに対応したAndroid TVの販売がはじまっている。しかし、自動車やテレビは製品のライフサイクルが長く、本格的な普及にはある程度の時間を必要とする。そのため、AIアシスタントが搭載されたさまざまなデバイスが使われはじめるのは、このタイミングになるだろう。
生活の中にさまざまなAIアシスタントデバイスが登場し使われはじめると、そのデバイスに搭載されたAIアシスタントごとに指示を切り替える必要が生じてくる。しかし、メインのAIアシスタントが各用途に応じて適切なAIアシスタントを呼び出し、サービスの利用ができるほうが利便性は高い。そのため、このころにはAIアシスタント間の連携が本格化するだろう。
また、利用シーンの多様化は、ユーザーの状況(コンテキスト)に応じた意図の理解が求められることでもある。たとえば、「今日の天気は?」という質問への回答が、自宅のリビングで聞かれた場合と、車の中とでは、異なる場合もある。さまざまなデータを複合的に活用し、ユーザーの意図理解を高度化する取り組みが本格化するだろう。
2016年12月にフェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、自らが開発した家庭用人工知能「Jarvis」を自宅に導入した。ザッカーバーグ氏は、「自宅外からJarvisとコミュニケーションを取りたくなるときが驚くほど多かったので、自宅に設置するデバイスではなく、スマートフォンを主要なインターフェースにすることが重要」と述べている。
今後、さまざまなAIアシスタントデバイスが登場し生活の中で普及したとして、それでもスマートフォンというデバイスの重要性が変わらないのであれば、AIアシスタントデバイスの領域でも、Androidプラットフォームを持つグーグルが存在感を増すことになるだろう。
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