ネット企業の個人情報共有に欠落した「倫理」 議論の最前線に情報共有用のAPIが浮上

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 3月21日、米フェイスブックの個人情報を英データ分析企業が不正利用していた問題を受け、インターネット業界は大手プラットフォーマーから小規模なソフトウエア開発企業に至るまで、顧客情報の共有方法を点検する必要に迫られそうだ。写真は20日撮影(2018年 ロイター/Dado Ruvic)

[サンフランシスコ 21日 ロイター] - 米フェイスブック<FB.O>の個人情報を英データ分析企業が不正利用していた問題を受け、インターネット業界は大手プラットフォーマーから小規模なソフトウエア開発企業に至るまで、顧客情報の共有方法を点検する必要に迫られそうだ。

英企業ケンブリッジ・アナリティカがフェイスブックの顧客50000万人のデータをトランプ米大統領の選挙戦に不正利用していた問題は、欧米の議員が捜査を求める事態に発展した。

規制当局が対策に乗り出す可能性もあり、グーグルの親会社アルファベット<GOOGL.O>やツイッター<TWTR.N>、ウーバー・テクノロジーズ、マイクロソフト<MSFT.O>、リンクトインその他、顧客データを外部開発業者に利用させている多くの企業に影響が及びそうだ。

現在のインターネットの核心を成すのは、フェイスブックやグーグルといったプラットフォームと、第三者であるサービス企業の相互連結だ。これによって利用者は、ニュースサイトで見た記事を即座にフェイスブックに上げたり、グーグルのアカウントを使って買い物アプリにログインすることが可能になっている。

この情報共有に用いられる技術がAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)。フェイスブックの事件によって、ネット産業の監視や安全保護をめぐる議論の最前線にAPIが浮上してきた。制裁の可能性を恐れ、企業は既に対策に乗り出している。

GGVキャピタルのジェーソン・コスタ氏は「すべての企業が第三者のデータアクセスについて、単なる自由放任ではなくしっかりした対策を迫られるだろう。多くの企業は『当社は単なるプラットフォームであり、ユーザーの利用法には責任を負いかねます』という表現を用いているが、もうそれが通用する時代ではなくなった」と説明した。

コスタ氏はツイッターやグーグル向けにAPIを運用する仕事に携わってきた。

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