センバツ「夏とは違う甲子園」を目指した96年

なぜ高校野球の大会が春夏に年2回あるのか

戦後は、秋の地方大会が全国で定着し、この成績が「春の甲子園」の選考基準として重要視されるようになった。

しかし、主催者はあくまで「選抜」であることにこだわっていた。

現在の選考は、まず高野連が選考委員を選出する。選考委員は、エリア別に出場候補校を持ち寄り、この中から出場校を決定する。

選考の基準は、前年の秋季大会での成績。都道府県大会で好成績を挙げ、各地方大会に進出して、ここでも勝ち抜けば選考される可能性が高くなる。

高野連、選考委員は「地方大会でベスト4に入ったら当確」のようなガイドラインは出さない。「当確」と決まった学校が、その後の試合で出場メンバーを落とすなど、手を抜くことを恐れてのことだ。事実、地方大会でベスト4に勝ち残った学校が、準決勝で大敗したために選出されなかったこともある。

成績が同程度の学校が並び立った場合は、勝敗以外の要素が考慮される。野球部の調査が行われ、部員が部外者に礼儀正しく挨拶をしたか、宿舎でスリッパをきれいに整頓していたかが選考の参考になることもあるという。

賛否が分かれる”21世紀枠”

2001年からは「21世紀枠」が設けられた。これは、部員不足、天災、施設面での困難を乗り越えた学校、他校の模範となるマナーを実践した学校などを評価して、特別枠で選出するものだ。

秋季の都道府県大会で8強以上(参加校数が多い都道府県は16強以上)に入った学校から、各都道府県が1校を推薦する。これを地区ごとに9校に絞り、さらにその中から3校を選出するものだ。選考が難航した場合は、より甲子園出場から遠ざかっている学校が選出される。

2003年には、明治神宮野球大会で優勝した地区の出場校が一枠増やされる「神宮枠」が設けられた。今のセンバツ高校野球は、一般選考28校、「21世紀枠」3校、「神宮枠」1校の32校によって争われている。ざっくり言えば、「21世紀枠」は、選抜高校野球の創設の原点に立ち戻ったものと言えよう(今年は記念大会のため一般選考32校)。

「勝敗」だけでなく「高校生らしさ」や「高校野球にふさわしい品格」などの徳目を加味し、トーナメントを上り詰める「夏の甲子園」とは違う、という部分を強調したわけだ。しかし「21世紀枠」は必ずしも評判が良いとは言えない。

「うちの学校に負けた高校が、頭が良いというだけで候補に選ばれている」「名門校はちょっと強いとすぐに候補になる」「特定の地域の学校ばかり選ばれる」・・・・・・。

選考された学校に問題があるわけではない。それなりに選ばれる根拠はあるし、その学校に個性や努力の跡がみられるのは間違いない。

しかし、客観的な基準がないために、選出されなかった高校にはどうしてもわだかまりが残る。また、21世紀枠で甲子園に出場した学校も、一般枠で出場した学校とは違う色眼鏡で見られがちなのも事実だ。

情報が限られていた昔とは異なり、今はネットで学校の情報や世間の噂、秋季大会など試合の情報もオンタイムで入手できる。一般の人でも「この選考はおかしいのではないか」と批判ができる時代だ。実力以外の理由で選出された学校に対して微妙な空気が流れるのは仕方がないともいえるのだ。

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