100人に聞いた!晩婚さんの「幸福」と「後悔」 「早婚さん」と違う傾向や特徴があるのか

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1つ目は、若い時期に独身生活をやりきったこと。仕事や恋愛だけでなく、スポーツなどの趣味に夢中で取り組み、燃え尽きるほどの達成感を得た人は少なくない。

たとえば、39歳のときに5歳年下の男性と結婚した女性。地方のテレビ局に入社して以来、ひたすら仕事に邁進してきた。そして、放送関係の大きな賞を獲得するなどの目標を37歳までに達成。だからこそ、心置きなく結婚へと向かうことができたと振り返る。

この女性は子どもが大好きだと公言し、小学生向けの教育ボランティアも行っている。夫との間には子どもはいない。「子どもができたらすごく幸せだけど、できなくても2人で楽しく暮らしていく」ことで合意している。

「こんなに子ども好きなのにどうして早く結婚しないのかと周囲に不思議がられた時期もあります。でも、私の場合はアラサーの頃に結婚して母親になっていたら、きっとフラストレーションがたまってしまったはずです。あの頃は自分のことしか考えていなかったから……。30代後半になって仕事をやりきったと感じて、時間やエネルギーを自分だけではなく誰かのためにも使いたいと思うようになれました」

もう少し切実な例としては、いわゆる「毒親」から心身ともに抜け出すために、結婚という共同生活ではなく、一人暮らしの期間が必要だったケースがある。一人きりになることで毒が少し抜け、再び誰かと一緒に暮らす勇気を持てた。「自由気ままな独身生活を満喫した」「時間はかかったけれど自分もある程度は大人になれた」と自覚したからこそ、現在の家庭生活に安心や喜びを見いだせているのだ。

年齢と経験を重ねてからの結婚だからこそ

2つ目の理由は、年齢と経験を重ねてからの結婚なので、ともに生活をしていくのに適切な相手を謙虚な気持ちで選べたという確信だ。若い頃は、明らかに相性がよくない異性に恋心を抱き、勢いで結婚してしまうこともある。その失敗を生かし、再婚で幸せな晩婚を果たした人は、この連載の中でも少なくなかった。

20代後半のとき、総合商社の同期男性と婚約をしていた女性。婚約中に彼が転勤となり、遠距離恋愛の不便さでお互いにいら立ち、結婚式の準備でケンカになってしまった。双方の親の意向を受け流すこともできなかった。長いブランクを経て、30代後半で出会ったのは「バツ2子2人」という8歳上の男性だった。

彼女はいま、「若い頃の理想の結婚」とは異なる、予想もしなかった家族の形を楽しんでいる。ずっと実家暮らしだった自分と比べて、結婚と育児の経験があり、家事もできる夫は頼もしい存在だ。同居はしていない義理の子どもたちとは「親戚のお姉さん」ぐらいの立ち位置で付き合っている。

社会人として仕事や生活をしていると、日々生きるだけで精いっぱいなときもある。そんな経験をすると、一時期の燃え上がるような恋よりも、もっと実質的で穏やかな人間関係を大事に感じるようになる。お互いに居心地がよく、尊敬し合い、支え合うことができる人と結婚したほうがいい――。われわれ晩婚さんは、こんな当たり前のことが腑に落ちるまでに時間が必要だったのかもしれない。

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