そこで、会社が着目した新たな経路が人材紹介会社。人材紹介会社に転職相談に来た人材のデータベースから、自社への応募を喚起して母集団にすることを期待したのです。この時期に中途採用における人材紹介の活用が一気に増えました。
典型的な例がメガバンクです。金融危機や合併で新卒採用を劇的に減らした影響で、行内は明らかに人材不足でした。そこで各行は1000名以上の中途採用を決断。1000名の採用のためには相当数の母集団を集める必要があります。この母集団の形成を担ったのが人材紹介会社でした。結果として、相当数の中途採用が人材紹介会社経由で行われました。銀行以外でも中途採用の経路として人材紹介が大きな地位を占めるようになりました。
ちなみに現在は2000年当時より中途採用するのは厳しい状態。もはや、求人サイトに加えて、人材紹介を活用しても、母集団を確保できない状況です。
注目されている「リファラル採用」
そこで注目されてきたのが「縁故=リファラル採用」です。縁故採用というと会社のオーナーや取引先から「就職先がないからなんとかしてくれないか」と頼まれて仕方なく採用するマイナスなイメージがあるかもしれません。ところが現在、マイナスではなく会社の成長に寄与するくらいに重要な手法かもしれないと注目が高まっています。ちなみに社員の知人や友人を紹介・推薦してもらうことで行う採用手法のことでもあり、どうやら、古くに行われていた縁故採用とは考え方、やり方が違うようです。
米国ではリファラル制度(Employee Referral Program)と呼ばれ、採用の主流となっています。少々古いデータになりますが米キャリアコンサルティングのCareerXroads社による「2012 Source of Hire」調査によると、大手企業の採用経路として最も多かったのはリファラル採用とのこと。それだけ、米国では主流となる採用経路なのです。
さらに最近はサイバーエージェント、コロプラ、GMOメディアなど人気のベンチャー企業では貴重な採用経路としてリファラル採用を活用し始めています。
取材したシステム開発会社では、リファラル採用の制度を導入して3年目。現在までに約2割の社員から50名以上の紹介があり、8名が採用に至っています。ちなみに紹介をすすめるため、制度を構築。紹介したい予定候補者と食事をするための費用負担や紹介後に入社した場合の報奨金などを定めています。ベンチャーからスタートしたリファラル手法ですが、おそらく徐々に通常の会社でも3つ目の採用経路として確立していくことでしょう。
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