体外受精も保険適用、フランスは女性に優しい

出生率2.0の国の不妊治療支援 

世界で広がる不妊症。中でも“晩産化”が進む日本の状況は深刻だ。今や男の10人に1人が精子に問題を抱える時代。男も不妊とは無縁ではない。世界のカップルを悩ます不妊症、その最前線を追った(この連載は、週刊東洋経済2012年7月21日号「みんな不妊に悩んでる」を加筆修正したものです)。

 

合計特殊出生率が4年連続で2.0を超えたフランス。この国の社会保険は、出産にかかわる費用だけでなく、妊娠に至るプロセスでかかる費用もカバーしている。自然に妊娠ができないとわかったカップルは、当然の選択肢として不妊治療を受けている。

サルコジ前大統領夫人のカーラ・ブルーニは、43歳で第2子を授かった。

国連団体に勤務するアンナ・ブレンナーさん(仮名、以下同、47)はパートナーのロバート・ダブスキーさん(45)とともに20代で祖国ドイツからフランスに移住した。

いつかは子どもが欲しいと願っていたが、なかなか妊娠しない。40歳手前の冬、夫婦で病院を訪れたところ、原因はロバートさんの精液異常であることがわかった。アンナさんは「この日が二人にとって最もつらい一日だった」と振り返る。父になりたい、母になりたいという意思を確認し合い、二人は不妊治療を開始した。

42歳までは保険適用、増える40代の出産

フランスで体外受精による初めての赤ちゃんが誕生したのは、1982年のことだ。それ以来、自然に妊娠できないカップルに対しては、人工授精(6回まで)、体外受精(4回まで)など、不妊治療にかかる費用のほぼすべてが社会保険でカバーされている。結婚していなくても、2年以上同居していればよい。女性には「42歳以下」という条件はあるが、年齢制限のない治療もある。

フランスの制度は、他のEU諸国と比べて寛大といえる。アンナさん夫婦の祖国ドイツでは、女性の社会保険適用の年齢上限は40歳、カバーしてくれるのは半額だ。スウェーデンも40歳までが対象で、ある一定額を超えないと保険の対象にはならない。

個人事業主のノミア・デュボアさん(49)は40歳になる前に不妊治療を受けて双子を授かった。2年弱にわたる治療期間中、人工授精を6回、体外受精を3回実施した。

ノミアさん夫婦は、社会保険以外に民間の共済保険にも入っているが、治療費は社会保険で全額賄えた。人工授精を1回2万円、体外受精を40万円として単純に計算すると、ノミアさん夫婦の治療費は132万円となる。不妊治療は成功するかどうか確証のない治療だ。「もし治療費が自費、あるいは半額負担だったら、とてもではないが続けられなかった」とノミアさんは話す。

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