「Now or Never(今でしょ)」で攻めるソニー SONY再起動へ。打倒アップル・サムスンへの曙光(下)

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ただし、iOSとAndroidが高い市場占有率を示している現状を無視しているわけではない。「あくまでも、より良いハードウェア、より良いアプリやサービスを作り、ユーザーにとってより良い製品を目指して磨き込むことが大前提。将来、自分たちでコントロールできるOSを持ちたいという思いはあるが、現時点ではアプリやサービスのレイヤを磨き込むことに集中している」(鈴木氏)

何より社内の意識が変化し、より良い製品が生み出せる、これまでにないアイディアが生まれてくる社内環境ができはじめたと鈴木氏は感じているようだが、それでもまだ明確な道筋が見ない部分もある。

それはスマートフォンで原体験を得た消費者を、各分野の製品へと受け渡す動線が、帆等に作れるのか?という部分だ。ソニーのスマートフォンでカメラを知った消費者が、ソニー製カメラを使ってくれるのか。これは映像やオーディオといった部分でも同じだろう。

やるなら今でしょ(Now or never)

Xperiaに経営資源を集中させ、モバイル製品の力を高めていく流れを作ることはできた。今後はXperiaを軸足にしてソニー全体をどう高めて行くかだ。しかし、ここは戦略的に”動線”を作っていくよりも、製品を作っている現場のエンジニアひとりひとりが意識を共有し、顧客の感動を引き出せるかにかかっている。

利害を超えて面白さを創出する。鈴木氏は「過去10数年を振り返って、今ほど社内がひとつになっている時期はない。成功しなければならないという意識と、『Now or never(今でしょ!)』という意識がしっかりと根付いている」と話す。

本当にソニーは変わったのだろうか。あるいは変わり始めているのか。その一端はすでに顕在化しており、曙光はみえている。今年、ソニーを定年退職するベテランエンジニアが次のように話した。

「出井時代、社内の技術・製品の評価してもらう機会は多かったが、伝わっているという手応えは今ひとつなかった。これが安藤、中鉢時代になると、自分たちが作っている、作ろうとする価値を伝える機会さえない暗黒時代だった。ストリンガーも一度巡回した程度。しかし今は、社内にある価値を見いだそういう、商品に対する経営陣の強い意志を感じる」

製品(プロダクト)の会社を経営するには、利益を生み出す源泉である製品そのものへの理解とこだわりがなければならない。そのこだわりが生まれているということは、確かにソニーは変化しているのだろう。しかし、大きな潮流になるまでには、まだもう少し時間が掛かりそうだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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