獣や魚がどうなのかは知らない。だが古今東西、老若男女、人が悩み、迷うのは確か。“戦う哲学 者”中島義道氏が開く人生相談道場に“同情”はない。ここにあるのは、感受性においてつねにマイノリティに属してきた中島氏が壮絶な人生経験を通じて得た、ごまかしも容赦もない「ほんとうのこと」のみ。“みんな”の生きている無難な世界とは違う哲学の世界からの助言に、開眼するも、絶望するも、あなた次第である。
※中島義道氏への人生相談はこちらから
【VOL.4】尊敬し合える友人に出会えない
ただ一緒にいてノリがあって楽しいだけではなく、お互いの人生哲学を快く認め合い、尊敬し合える友達をつくるには、どうすればいいですか?
普段からぼーっと何かを考えこんでしまう性格で、人より物事に対する自分なりの哲学を強く持っています。なので自分なりの答えを持っている事柄に対しては、つねに自分の考え方がいちばん正しいと思っています。そのため、自分と考え方の違う人=自分の域まで達していない人であり、その人を見下してしまうことが多々あります。もちろん全員ではなく中には自分とは違うけれど尊敬できるなと思える人もいます。どちらにせよ日常でなかなか人生哲学を尊敬できる人に巡り会えません。
そんな中、いつしか歳を重ねるうちに、強い孤独感を感じるようになりました。お互いの人生哲学を快く認め合い尊敬し合える人、つまり自分と同じような価値観や哲学を持った人、と出会うにはどうすればいいですか? どうやって出会えばいいのかわかりません。どのような環境にそのような人は存在するのですか?
出会いは運だと思いますが、何か確率を上げるいいアイデアやアドバイスがあれば教えてください。とても悩んでいます。よろしくお願いします。
(26歳、無職、男性)
今回は、「哲学とは何か?」という問いに、直接、踏み込む相談ですから、答えやすいかもしれません。相談者が「物事に対する自分なりの哲学を強く持っています」という意味がよくわかりませんが、その次に「なので自分なりの答えを持っている事柄に対しては、つねに自分の考え方がいちばん正しいと思っています」と続くのですから、ますますわからなくなります。どうも、相談者は「哲学とは何か?」について誤解しているように思われます。いや、狭い意味の「哲学」に限定しなくても、思索すること一般に拡大しても、同じ印象を持ちます。還暦を過ぎればともかく、20代半ばで「自分の考えがいちばん正しい」と思っている理由(原因)は、自然に考えて2つあるのではないでしょうか。
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