「自分と同じ」はつまらない!
最後にひとつ、相談の中で気になったことがあります。それは、相談者が「自分と同じような価値観や哲学を持った人」との出会いを求めていることです。他人が「自分と同じ」では、つまらないのではないですか? むしろ他人は「自分と違う」からこそ面白いのではないですか? 「自分と違う考え方」をどんどん採り入れても崩れないほどの考え方が、本当の「自分の考え方」なのではないですか?
とはいえ、確かに世の中の人々のほとんどは、厳密に思考するのが得意ではありませんし、絶え間ない知的向上を求めてはいませんし、「なぜ生きなければならないのか?」あるいは「死んだらどうなるのか?」と、それほど真剣には考えませんし――相談者がそういう意味で「自分と同じ価値や哲学をもった人」を求めているのであれば、ぜひ(できれば有名大学の)哲学科の大学院に入ることを勧めます。そこには、(人格的には問題な者がうじゃうじゃいるけれど)とにかく「真理を知りたい」という人が結集していて、みんな「自分の考え方がいちばん正しい」と思っています。そういうツワモノどもに囲まれて議論すること(私はこれを40年ほど続けてきました)は、わくわくするほど面白いし、いずれ「気の合った」(つまり真に自分を鍛えてくれる)仲間もできることでしょう。ニーチェの言うごとく、真の友は真の敵でなければならないのです。それが無理なら、私の主宰する「哲学塾」に来てみてください。(権威的かつ通俗的言い方をすれば)東大や京大の大学院に匹敵するほど勉強し、真剣に思考する人が集まっていますよ。
今回の参考図書は、本文で挙げた『〈対話〉のない社会』(PHP新書)だけにします。
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