どうしたら尊敬できる友人に出会えますか? 「自分と同じ」ことほどつまらないことはない!

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「自分と同じ」はつまらない!

最後にひとつ、相談の中で気になったことがあります。それは、相談者が「自分と同じような価値観や哲学を持った人」との出会いを求めていることです。他人が「自分と同じ」では、つまらないのではないですか? むしろ他人は「自分と違う」からこそ面白いのではないですか? 「自分と違う考え方」をどんどん採り入れても崩れないほどの考え方が、本当の「自分の考え方」なのではないですか? 

とはいえ、確かに世の中の人々のほとんどは、厳密に思考するのが得意ではありませんし、絶え間ない知的向上を求めてはいませんし、「なぜ生きなければならないのか?」あるいは「死んだらどうなるのか?」と、それほど真剣には考えませんし――相談者がそういう意味で「自分と同じ価値や哲学をもった人」を求めているのであれば、ぜひ(できれば有名大学の)哲学科の大学院に入ることを勧めます。そこには、(人格的には問題な者がうじゃうじゃいるけれど)とにかく「真理を知りたい」という人が結集していて、みんな「自分の考え方がいちばん正しい」と思っています。そういうツワモノどもに囲まれて議論すること(私はこれを40年ほど続けてきました)は、わくわくするほど面白いし、いずれ「気の合った」(つまり真に自分を鍛えてくれる)仲間もできることでしょう。ニーチェの言うごとく、真の友は真の敵でなければならないのです。それが無理なら、私の主宰する「哲学塾」に来てみてください。(権威的かつ通俗的言い方をすれば)東大や京大の大学院に匹敵するほど勉強し、真剣に思考する人が集まっていますよ。

今回の参考図書は、本文で挙げた『〈対話〉のない社会』(PHP新書)だけにします。

中島 義道 哲学者

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なかじま よしみち / Yoshimichi Nakajima

電気通信大学元教授・哲学塾カント主宰
1946年福岡県生まれ。77年東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程修了。83年ウィーン大学基礎総合学部哲学科修了、哲学博士。専門は時間論、自我論。2009年電気通信大学電気通信学部人間コミュニケーション学科教授を退官。現在は「哲学塾 カント」を主宰し、延べ650人が参加した。著書は『働くことがイヤな人のための本』『私の嫌いな10の人びと』『人生に生きる価値はない』(以上、新潮文庫)など約60冊を数える。

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