「病気で休職」したらいったいいくら貰えるか 意外と知らない「傷病手当金」の基本

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冒頭のKさんは、民間の医療保険に入っておらず「おカネ」の心配をされていましたが、会社員で健康保険に加入していれば、少なくとも傷病手当金はもらえるというわけです。

標準報酬日額の3分の2

2.傷病手当金はどのくらいもらえる?

気になる傷病手当金の金額ですが、傷病手当金は「1日につき標準報酬日額の3分の2」になります。この「標準報酬日額」とは、傷病手当金の支給を開始した日以前12カ月間の標準報酬月額いわゆる「ひょうげつ」の平均額を30で割って計算します。

ちなみにこの「ひょうげつ」とは、社会保険の事務処理を簡略するために考えられた仕組みで、給与をおよそ1万円から6万円の幅で区分した等級のこと。健康保険は、月額139万円が上限になっています。社会保険のあらゆる場面で使われる重要なキーワードで、自分の「ひょうげつ」がわかればいろいろな計算できます(なお、詳しくは過去記事「給与が減ったと思ったら「この表」を見よ!」をご覧ください)。

では、傷病手当金の金額を具体的に計算してみましょう。たとえば直近12カ月のひょうげつの平均が30万円の場合だと、標準報酬日額は、30万円÷30=1万円になるので、傷病手当金の1日の金額は、1万円×2/3≒6667円になります。したがって、1カ月休んだ場合は、6667円×30日=20万0010円が傷病手当金として健康保険組合等からもらえることになるのです。

ただし、給与が支給されている場合は傷病手当金が減額されるので注意が必要です。たとえば、標準報酬日額の3分の2の金額が6000円の場合で、欠勤した日について給与が1日2000円支給されているケースだと、1日につき、減額された4000円が傷病手当金として支給されることになるわけです。つまり、傷病手当金の金額は、1日につき標準報酬日額の3分の2を上限として、給与が支払われていれば差し引かれて支給されるということです。

なお、民間の医療保険から支給される分は、もちろん調整の対象とはなりませんのでご安心ください。

3.1年半の期間に注意

傷病手当金は、ケガや病気が治るまでずっともらえるわけではありません。もらい始めた日から1年半で終了になります。なお、1年半はもらえる日数分ではなく、あくまでも期間です。したがって、たとえば、病気で傷病手当金を2カ月受給し、復職後4カ月経過後に再発したようなケースでは、まだ、2カ月分しか傷病手当金をもらっていません。しかし、もらい始めたときからすでに6カ月を経過しているので、残り1年間しかもらえないというわけです。ただし、傷病手当金は、同一傷病ごとにカウントするため、病気やケガが異なればその都度そこから1年半もらえることになります。ただし、二重に受給することはできません。

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