政府は、2月16日、日本銀行の正副総裁3人の人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した。報道によれば、今後、3月上旬に国会による所信聴取が行われるが、両議院ともに与党が圧倒的議席を有しているため、この政府人事案はほぼ確実に承認されるとみられる。
日銀人事には官邸のブレーン・本田氏が影響を与えた?
筆者は当連載で、次期日銀執行部人事がサプライズとなる可能性を指摘していた(「安倍政権による日銀人事サプライズの可能性」)。
金融緩和の徹底または緩和強化の可能性を探る、総裁および副総裁が選出される可能性が高いとみていた。黒田東彦総裁続投の是非については安倍政権のブレーンの中でも意見が分かれていたと見られる。そのため、人事刷新を通じて金融政策のレジームを再び変え、脱デフレを完遂するために金融緩和を強化することは安倍政権の中で1つの選択肢になっていたと推測される。
政府から総裁・副総裁人事が提示されてから、人事選定の内幕が複数のメディアによって報じられている。メディアによるソース不明の取材記事がすべて真実とは思われないが、5年前、そして今回の日銀執行部人事のプロセスには、官邸のブレーンとなっている本田悦朗・内閣府参与の考えが大きく影響していることは、ほぼ確実だと筆者は認識している。
事前の下馬評どおりに黒田総裁の続投となったため金融市場の反応は限定的となり、筆者が想定していたサプライズとはならなかった。市場が想定していたサプライズ人事は、本田氏自身が日銀執行部に入ることであり、これも安倍政権にとっては有力なオプションだっただろう。
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