2018年初から日本株は大幅高となり、日経平均株価は1月9日には2万4000円手前まで上昇するという絶好調の滑り出しとなった。指数の信頼性がより高いTOPIXも約1890と、バブル崩壊以後の高値だった2007年2月を上回り、日経平均とほぼ同様に約26年ぶりの高値まで上昇した。「歴史的バブル崩壊」+「その後に繰り返された経済失政」がもたらした長きにわたる株式市場の停滞は、ようやく終わった。年初早々の株高は、他国同様に株式市場が持続的に上昇する「正常な状況」が、日本でも四半世紀年ぶりに訪れつつあることを示しているといえる。
米国は一段の株高になる可能性がある
もっとも、年末年始の日本株の上昇が、国内要因によってもたらされたとは言い難い。1月2日から米国株の大幅高をきっかけとした世界的な株高によって、世界景気の敏感株である日本株が上昇したということである。
割高感を示すシグナルもでてくる中で、米国では依然株高が続いているが、それをもたらしている要因は何か? ドナルド・トランプ米政権が昨年末に大型の減税政策を実現させたことで、2018年の経済成長の加速や企業業績の拡大に懐疑的だった市場関係者が、株式などリスク資産のポジションを拡大させた、というのが一つの解釈である。
一方、すでに株価には減税政策の実現が織り込まれたものの、実際の経済の押し上げインパクトやさらなるインフラ投資拡大などについては慎重な見方も市場では残っているとみられる。トランプ政権については不確定要素が多いが、今後もゲーリー・コーンNEC(国家経済会議)委員長、スティーブン・ムニューシン財務長官を中心にした経済成長重視の政策運営が続けば、それが一段の株高・金利上昇をもたらすと筆者は判断している。
これまでの経済政策と金融市場の関係を大まかに振り返ると、金融市場を混乱させた2012年の欧州債務危機を落ち着かせた直接の要因は、マリオ・ドラギECB(欧州中央銀行)総裁による国債購入拡大政策だった。そしてECBの政策転換の底流には、それまで緊縮強化一辺倒だったユーロ各国の財政政策が、緩和方向に転換したことがあった。
欧州ではその後もギリシャ危機が市場を賑わせた局面もあったが、極端な財政規律をドイツなどの大国が強要せず緊縮財政を和らげたことが、ECBの金融緩和徹底とあいまって欧州経済全体の復調をもたらした。2017年のユーロ圏の経済成長率は、実に2007年以来10年ぶりの高成長になったとみられ、2017年の世界株高を後押しする役割を果たした。
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