菊池桃子が40歳からの学び直しで得た気づき 「知ることすべてが学び」、母校で客員教授に

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菊池桃子(きくち ももこ)/女優・戸板女子短期大学客員教授。1968年生まれ。芸能活動や子育てと並行し、2012年法政大学大学院政策創造専攻の修士課程を修了。現在は母校でキャリア教育の講義を担当する。著書に『午後には陽のあたる場所』(撮影:梅谷秀司)

――大学院で学ぼうと思ったきっかけは?

私の娘は、乳児期の脳梗塞で左手足にマヒが残りました。「私はどんな職業につけるの?」「どこまで夢を持っていいの?」と問いかけてきたのです。そんな娘の人生を守りたい――。これが一番の理由でした。

社会人が通える大学院のガイドブックを読んで見掛けたキャリアカウンセラーに相談すると、法政大学大学院のある研究科を紹介されたのです。

――キャリアカウンセラーとはどのようなやり取りを?

精神科医であり心理学者でもあるユングの、“人生の正午”という考え方を教わりました。

人生を太陽の動きにたとえると、40歳前後は“正午”。「菊池さんは“午後”をどのように計画していますか?」と尋ねられたのです。

私はそれまで、1年おきに目標を定めて反省するという生き方をしていましたが、ユングの話を聞いて、「何歳ごろの私は何をしているだろうか」と長期的に人生を考えるようになりました。

知っている自分と知らない自分

――“人生の正午”に通い始めた大学院での学び直しを通して、意外な気づきがあったそうですね。

ええ。まずは同級生とのやり取りから、自分が「人見知りをしない」ということに気づきました。

仕事では社交辞令があったり、利害関係があったりして、心を開ききれない部分もあったと思います。大学院に入って、素の自分に出会えたというか。

もう1つあります。私が後輩に専門用語などを解説する姿を見て、同級生や先生方が「菊池さんって教えるのが好きだよね!」と言うのです。

心理学の領域に、「ジョハリの窓」というフレームワークがあります。自分が知っている自分と知らない自分があって、周りの人が自分の潜在的な能力に気づかせてくれる。大学院のような学習共同体で学ぶことが、自分を知るきっかけになりました。

大学院での学びは、芸能活動にも役立っています。ドラマに出るときに、たとえば女性の社会進出のような社会的課題や変化がわかったうえで演じられる。インタビューを受けるときも、以前は自分の記憶を基に話していましたが、社会の動きについての関心が高まり、話題が広がったことを感じています。

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