最新!「有休取得率」の高い300社ランキング ホンダが7連覇、トップ3も系列が独占

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上位で順位を上げた企業の筆頭がトヨタ自動車。平均取得率が94.1%から97.4%へと3ポイント以上アップし、順位も昨年の9位から5位へと上昇した。トヨタの有給休暇は時効3年、つまり今年度の有給休暇残日数は次々年度まで持ち越すことができ、最大60日分保有可能だ。病気やケガ、入院などの際にも利用できるという安心感にもつながっている。100%有給休暇取得を目指し、特に3DV(3日連続取得)を推奨。直近2016年度は取得率102.3%と持ち越し分の取得も進んだことが取得率アップにつながった。

昨年12位から8位へと順位を上げたのはトヨタ車体。ミニバンや商用車など大型車中心に企画・開発・生産を行っているグループ中核企業の1つだ。同社も有給休暇が次々年度まで持ち越すことができるが、それ以降は失効してしまうため、失効する休暇をなくす「年休カットゼロ」活動を推進している。この活動により、昨年まで13年連続で失効した有給休暇ゼロを達成しており、その効果もあり、平均取得率も昨年の93.5%から96.4%へと大きくアップした。

1位のホンダから6位のダイハツ工業まで上位を自動車関連企業が独占。また8位のトヨタ車体以下、20位の東海理化まで上位20社のうち13社を自動車関連企業が占めた。ちなみに11位のエフテックと12位の日信工業は、3年度分のデータがそろったため、今回の調査からランキング対象に加わった企業だ。

今年も大きく順位を上げた東亞合成

自動車関連企業以外では、関西電力が昨年と同じ7位で最上位となり、トヨタ車体と同率8位に今回新たに対象となった生協の物流会社シーエックスカーゴ、10位に昨年は6位で非自動車最上位だったSCSKが続いた。

大きく順位を上げた企業では、昨年調査で102位から50位へとジャンプアップした東亞合成が、今回も50位から36位へと大きく上昇した。同社では残業時間削減だけではなく所定内労働時間も短縮するなどワーク・ライフ・バランスの実現に取り組んでいるが、2015年度からは有給休暇取得率100%を目標に掲げ、取得率の向上に注力している。

休暇の取得予定をシステム管理し、各人の休暇取得予定を把握・確認できる体制を整えたことで、それまで70%台前半にとどまっていた取得率が2015年度には96.3%と一気にアップ、直近2016年度も92.2%と高水準を維持しており、平均取得率も87.3%と大きく上昇した。

45位のコスモエネルギーホールディングスは、平均取得率が昨年79.8%から85.5%へと上昇し、順位も57位から12ランクアップした。同社の「コスモレポート2017」によれば、2015年度より年間総労働時間1900時間を指標として、夜型から朝型勤務への転換(残業加算率の変更)、リフレッシュデー(定時退社)、20時消灯、管理職の人事評価に部下の労働時間実績・改善を反映するなどの取り組みを推進。それに伴い有給休暇の計画的な取得への意識も高まってきたようだ。それが証拠に2014年度まで70%台前半から半ばにとどまっていた平均取得率が、2015年度には89.7%、2016年度は90.9%へと高まっている。

味の素も70位から56位へと順位を上げた。同社では2014年度に味の素流の働き方改革『Work@A』プロジェクトを立ち上げ、フレックスタイムのコアタイム廃止や在宅勤務制度、1時間単位での有給休暇制度など新しい制度を導入した。翌2015年度には、有給休暇取得の目標設定や夏に3日間の有給休暇を計画的に付与するなどの仕組みを導入。その結果、平均取得率は2014年度の76.0%から2015年度は82.1%、そして2016年度は88.8%と浸透してきた。

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