「シンガポールはつまらない」自虐動画の全貌 短期間の滞在では決して見えない本当の味

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「すべてがコンクリート」で、「芸術も文化もない」(画像:Singapore Tourism Boardが作成した動画より)

さらには、野生動物も生息する自然豊かなエリアで悠々と小さなボートが浮かぶ様子や、広大な敷地に広がる緑豊かな植物園ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの映像とともに「すべてがコンクリート」の文字。文化に乏しいと指摘されたことに対しても反論するかのように、「芸術も文化もない」との字幕と共に巨大なオブジェが目を引くアートサイエンスミュージアムや、雑多な街並みが魅力のチャイナタウンやリトルインディアなどが続く。

“世界一安い”ミシュラン屋台料理で皮肉

極めつきは、「すべてがとても高額だ」としながら、屋台の安い名物であるサテと呼ばれる東南アジア風の焼き鳥(羊肉や牛肉も)や、世界で初めてミシュラン一つ星を獲得した屋台(「香港油鶏飯麺」Hong Kong Soya Sauce Chicken Rice and Noodle)の甘辛いしょうゆ味の鶏肉を乗せた麺を映し、「ミシュランの食事が2ドル(約170円)」と皮肉る。ちなみに、この一品は世界で“最も安い”ミシュラン星付き料理として知られている。

「すべてがとても高額だ」(画像:Singapore Tourism Boardが作成した動画より)

そして最後に大きな字幕で畳み掛ける。

「私たちはこれ以上どうやったらつまらなくなれますか?」

この動画を最後まで視聴すると、わざわざ自国のことを「つまらない」とアピールする理由が皮肉、かつエッジの効いたジョークであることがわかる。

この動画は、8日時点で15万回以上再生され、2500もの「いいね」がつき、コメントも相次いでいる。

「観光地から抜け出そう。ローカルな庶民が集まる場所で食べ、飲もう」

「生まれた時からシンガポールに住む者として真剣に言わせてもらいたい、私はいまだにこの国を探検し尽くせていない! そして、この国を退屈だという人にはこう言いたい、“観光客”であることをやめて心地よい場所から出てみようじゃないか」

動画へのコメントのキャプチャ画面(画像:Singapore Tourism BoardのFacebookページより)

「私はイギリス人ですがシンガポールが大好き♡ いつ訪れても飽きることはない。いつでも見ること、やることが多くて時間が足りないほどよ」

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